バスツアー集団感染 県交通局「対策は実施」 別の事業者困惑「無症状では」

 貸し切りバスの団体ツアーで、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことが27日、明らかになった。旅行会社の依頼を受けてバスを運行した長崎県交通局(県営バス)は、ガイドラインに基づき感染対策を実施していたと説明。一方、別の民間事業所からは「無症状の感染者が乗ってくると、どうすることもできない」と困惑の声も聞かれた。
 同局と長崎市によると、運行した貸し切りバスは補助席を含むと60人乗り(座席は49)。同市発着で22~24日にかけて実施した県外への団体ツアーで、三十数人が乗車した。同局は25日に旅行会社を通じて最初の感染者が出たことを知り、同日までにバスの消毒を実施。同乗した運転手2人は27日にPCR検査を受け、結果待ちの状態という。
 バスツアーの運行は日本バス協会のガイドラインに基づき▽検温・体調確認▽乗車口に消毒液の設置と手指消毒の徹底▽マスク着用と大声での会話禁止▽空調などによる換気▽車内飲食の禁止▽運転席周りに仕切り設置-などの対策を実施しており、車内でのカラオケや飲食は確認されていないという。同局は今後も貸し切りバスの運行は続ける方針で「感染予防対策については、より万全を期したい」とした。
 バスツアーでのクラスター発生を受け、長崎市内で貸し切りバスを運行する民間事業所の担当者は「車内の消毒や検温、マスク着用を徹底していても、無症状の感染者が乗って来るとどうすることもできない。これ以上、どういう対策を取ればいいのか」と困惑気味に語った。


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