荘厳な石仏に絶景、グルメ!大分県南部のオススメスポット10選

知られざる大分県の魅力

別府温泉湯布院などがあることから「おんせん県」と呼ばれる大分県。南部へ足を伸ばせば、海と山が織りなす絶景、世界遺産、グルメも楽しめます。

本記事では、臼杵(うすき)、佐伯(さいき)、津久見(つくみ)、豊後大野(ぶんごおおの)といった大分県南部の魅力的なスポットを紹介します。

臼杵市――タイムスリップできる町

臼杵市は、16世紀にポルトガルや中国の商人が行き来していた国際港町でした。町並みには複数の時代の名残が感じられ、どの角を曲がっても新しい発見が待っています。

この町の名所である臼杵石仏、臼杵城跡など、町中の見どころを紹介します。

1. 中世仏教の世界に触れられる臼杵石仏

臼杵石仏は、平安時代後期から鎌倉時代(1185~1333年)に、山の石肌に刻まれた磨崖仏。当時は仏教の浄土宗が広まり、人々は極楽浄土へ行くことを夢見て、さまざまな形でその願いを表現していました。

石仏群の前に広がる公園一帯には、江戸時代(1603~1868年)の初めごろまで小さな湖がありました。

この地は900年前、「臼杵荘」という京都の貴族の領地(荘園)でした。石仏群は臼杵荘の西方にあたるこの場所に極楽浄土を再現しようとして造られたものだと考えられています。浄土思想を目で見て分かるようにしたようですね。

臼杵石仏は合計61体あり、すべて国宝・特別史跡に指定されています。

満月寺と石仏の間にある「深田の谷」には、蓮やコスモスなど、四季の花が咲き誇ります。ここは、昔の人の浄土への夢が息づいているようです。

2. 町が見渡せる臼杵城跡

臼杵城は、戦国時代のキリシタン大名大友宗麟(おおとも そうりん、1530~1587)が築いた城で、海に囲まれた島の上に築かれていました。周辺にはにぎやかな城下町が栄えました。

城跡は現在、臼杵公園の中にあります。城の櫓(やぐら)や堀、門や石垣が残っているほか、神社も設けられています。城跡からは町並みが見晴らせるほか、春になると園内に約800本の桜が咲き誇ります。

3. 武家屋敷が並ぶ「二王座歴史の道」

臼杵の中でも、城下町の面影を色濃く残しているのは「二王座歴史の道」。17世紀前半、この地区には多くの寺院が建てられました。今も、数多くの立派な門構えの寺が残っています。

道中には昔、武家屋敷も多く並んでいました。白壁や石垣、繊細な彫刻が施された門などを見ると、江戸時代にタイムスリップしたような気分になります。

「二王座歴史の道」の近くにある「カニ醤油」は、1600年に創業した味噌と醤油製造の老舗。ここで出しているのが臼杵の名物、味噌ソフトクリームです。味噌ソースの甘じょっぱい味が、ミルク風味のソフトクリームの甘さを引き立てます。

臼杵の見どころや歴史については、「臼杵市観光交流プラザ」で詳しい情報を入手できます。多言語のパンフレットもあるほか、臼杵の昔と今を映すビデオ上映も行われていますよ。

城下町散策は着物姿で!

城下町を散策するときに着物を着ると、タイムスリップ感がもっと深まります。臼杵での着物レンタルは、中央通り商店街の入り口近くにある「赤穂屋呉服店」がオススメ。

レンタルする着物は、好きな色や柄を選べます。着付けは、プロが手伝ってくれるので安心。着物を着る時の美しい歩き方や座り方などまで教えてもらえます。

赤穂屋には茶室があり、抹茶を点てる体験(300円)や、着物を着たまま茶道を行う体験(1,000円)も楽しめます。着物レンタルは、公式HPのお問合せフォームで事前予約してくださいね。

臼杵の必食グルメ

臼杵では、醤油、味噌や酒といった発酵食品が名物。また、フグ料理も人気です。そのほか、煎餅やカボスを使ったお菓子や飲み物など、さまざまなおみやげも楽しめます。

フグ料理なら「喜楽庵」へ

日本料理を味わうなら、イチオシは「喜楽庵(きらくあん)」。大正時代に建てられた料亭で、美しい庭園に囲まれながら優雅に食事を楽しめます。

「喜楽庵」では、地元の食材にこだわった日本料理や懐石料理を出しています。

このうち「ふぐコース」では、上等なフグの刺身が味わえます。薄く切られたフグの透明な肉は弾力があり、癖のない繊細な味が特徴。臼杵の名産であるカボスを添えて食べてみてくださいね。

「ふぐコース」は、ふぐ鍋や雑炊、デザートも含むコース料理です。一品一品から、臼杵の豊かな食文化が伝わってくるでしょう。

おみやげは「後藤製菓」で

臼杵石仏公園の入り口には「後藤製菓」という煎餅店があります。

100年の歴史を誇るこの老舗店の名物は、生姜風味の砂糖のコーティングが香ばしい「臼杵煎餅」。生姜も臼杵の特産のひとつで、濃い香りと爽やかな味わいが特徴。日持ちがよいので、おみやげとして最適です。

「後藤製菓」では、せんべい塗り体験も楽しめます(事前予約が必要)。生姜味の蜜を自分でせんべいに塗ってみると、職人の技やこだわりが実感できるでしょう。

国際的にも評価!名ブランド「藤居酒造」

臼杵市を代表する名ブランドのひとつ「藤居酒造」。さまざまな種類のおいしいお酒を造っています。

日本酒なら「龍梅」の大吟醸が繊細な味わいで、和食によく合います。本格焼酎なら、国際味覚審査機構に3年連続で最高評価を受けた「大分麦焼酎ふしぎ屋」がオススメ。長期熟成によりまろやかな味わいとなった麦焼酎「時の旅人」も捨てがたいところです。

藤居酒造の全商品は、お酒の販売店「萬力屋」で購入できるので、ぜひ行ってみてくださいね。

藤居酒造では、工場見学も可能です。酒づくりの最新技術に触れたり、酒造りの道具を見たりできますよ。藤居家に伝わる昔の酒造り道具が展示されている蔵もあります。

なお、洞窟貯蔵も見逃せません。ここでは、温度の変化が少ない天然の貯蔵庫に約200の焼酎のかめ貯蔵があります。中には、20年以上前から長期熟成しているお酒も。こちらも希望すれば見学可能です。

佐伯――息をのむ海の絶景

臼杵市から南にある佐伯市。ここは、瀬戸内海と太平洋の潮の合流地点で豊かな漁場があるため、さまざまな海の幸が楽しめます。また、リアス海岸が生み出す絶景も見どころです。

4. 九州最東端!鶴御埼灯台

九州本土の最東端にある「鶴御埼灯台」。鶴見崎の海抜約200mの絶壁に位置し、付近には海軍望楼などの戦時中の遺跡が残っています。また、灯台下にはドーム型の展望台があります。

地元の方もオススメする絶景スポットで、晴れた日には対岸の四国まで眺望できます。

5. 四国まで見渡せる「空の公園」

標高160メートルの空の公園内にある「空の展望所」。ここからは豊後水道を見渡すことができ、晴れた日には四国まで見えます。

公園は山と海に囲まれており、大自然の力が感じられます。4月に訪れると、歩道の両側に植えてある芝桜が見頃を迎え、ピンクの絨毯のような景観が広がります。

6. 初日の出のオススメスポット!豊後二見ヶ浦

豊後二見ヶ浦(ぶんごふたみがうら)には、大きなしめ縄に結ばれた「夫婦岩」と呼ばれる2つの岩があります。藁でつくられたしめ縄は長さ約65メートル、重さ約2トンにもなり、毎年12月、地元ボランティアによって張り替えられているそうです。

豊後二見ヶ浦は初日の出スポットとして名高く、12月24日~1月4日にはライトアップされ、3月上旬と10月上旬には、夫婦岩の間から日が昇ります。

佐伯の必食グルメ

佐伯でオススメのグルメを紹介します。

寿司にパフェのメニューも!?「亀八寿司」

おいしい海鮮を誇る佐伯には、多くの寿司店があります。中でもひときわ目立つのは「亀八寿司」。旬の魚を使った多彩なメニューは、種類の多さも握りの大きさも無類! メニューには多言語表記もあり、訪日観光客も安心です。

「亀八寿司」は、寿司屋にも関わらずパティシエによる本格的なパフェを出していることでも話題になりました。佐伯に行ったら、ぜひ訪ねてほしい名店です。

甘酒のおいしさに感動!「麹の杜」

佐伯グルメでは、「麹の杜」の甘酒も見逃せません。

「麹の杜」は、日本酒や焼酎を製造する「ぶんご銘醸」が運営する甘酒工場。見学ツアー(英語対応可、事前予約が必要)では、甘酒ができるまでの工程を見ることができます。

「こうじちゃん」というキャラクターを探す遊びもあり、子どもも楽しめるほか、数種類の甘酒の試飲もできますよ。

アルコールを一切含まず、自然な甘みがある甘酒は、ヘルシーな飲み物として注目を集めています。「麹の杜」の売店には、さまざまな種類の甘酒が並んでいるので、ぜひチェックを。

津久見――イルカに出会える町

おいしいミカンの産地として名高い津久見市。近年はイルカに会える「つくみイルカ島」が注目を集めています。

7. イルカと泳ぐ体験も!「つくみイルカ島」

うみたま体験パーク つくみイルカ島」の特徴は、自然の海に暮らしているイルカたちと触れ合えること。1日3回のイルカショーのほか、イルカと一緒に泳ぐ体験もできます。

イルカのほかにもアザラシやペンギン、カワウソ、さまざまな魚がいて、餌をあげたり釣りをしたりして楽しめます。

「つくみイルカ島」の売店ではイルカ関連グッズのほか、津久見の特産品も販売されています。ミカンを使ったジャムやスイーツ、お菓子、漬物、お惣菜などは、おみやげにぴったり。

また、津久見市はセメント用石灰石の産地としても有名です。こちらに関連し販売されている「セメント色のアイスクリーム」は、ヒマワリの種を使ったアイスクリーム。その美味しさと食感の滑らかさは驚くほどです!

津久見の必食グルメ

海辺の街・津久見で必食のグルメといえばやはりシーフードです。

「浜茶屋」のマグロステーキ

JR津久見駅から車で10分ほどのところにある「浜茶屋」は、昼には行列ができる人気の海鮮料理店。

ここの名物はマグロステーキ。鉄板で焼いたマグロの香ばしさとおいしさの秘密は、調理に使う塩にあるのだとか。寿司や刺身、海鮮丼も絶品ですよ!

豊後大野――大自然が感じられるジオパーク

豊後大野市は、約9万年前に阿蘇山の大噴火で形成された場所。現在は市全域がジオパークとなっています。

柱状節理(※1)によってできた滝や、川が織りなす独自の地形、こうした環境下で生まれた石橋など、見どころ満点です。

8. 圧巻の自然美!「原尻の滝」

緒方川の途中に突然現れる原尻の滝。溶結凝灰岩でできたこの滝は、幅120メートル、高さ20メートルにもなります。横や真上、あるいは川にかかる滝見橋からも鑑賞できます。

川沿いには、水路を見守る緒方三社(一の宮社、二の宮社、三の宮社)という3つの神社があります。毎年11月のお祭りでは、三の宮社から上流の二の宮社まで、神輿が川の上を渡って運ばれます。

9. アーチの長さは日本一!轟橋と出会橋

豊後大野には100以上の石橋がありますが、中でも轟橋と出会橋では、2つの石橋が並ぶ珍しい景観が見られます。

轟橋は1934年、鉄道用の橋として建設されました。2連のアーチの径間はそれぞれ32.1メートルと26.2メートル。アーチの長さは日本一です。そこから少し上流にかかる出会橋は、人用の橋として1924年に架けられました。

2つの橋の素材には、川の両側にある溶結凝灰岩が使われたとのこと。そのせいか、人工物であるにも関わらず景色に不思議な統一感があります。

10. 巨大石仏を間近で見られる「普光寺磨崖仏」

普光寺の境内にある磨崖仏は、溶結凝灰岩に彫られた石仏。高さは8メートル以上に及びます。中心にある、おおらかな表情の不動明王は、鎌倉時代に作られたと見られています。

磨崖仏がある岩のふもとまで、歩道を通っていくことができます。初夏には、この道の両側にアジサイが咲き誇りますよ。

豊後大野の必食グルメ

豊後大野は「大分の野菜畑」と呼ばれるほど、野菜の栽培が盛んです。

地元の野菜を使った料理を提供する店については「ベジカフェMs.」がオススメ。野菜ソムリエが運営するカフェで、栄養バランスや食材の本来の味にこだわった料理は、多くの人に愛されています。

弁当箱に入れ提供されるカレーライスやハンバーグなどには、野菜がふんだんに使われており、優しい味わいが魅力。

「牟礼鶴酒造」の焼酎

牟礼鶴酒造(むれづるしゅぞう)」は、1905年創業の蔵元。製造している麦焼酎や米焼酎は香りが高く、口当たりがなめらかで飲みやすいのが特徴です。

焼酎作りの過程について知りたい方向けに、酒造の見学ツアーも開催されています。焼酎づくりに使われる道具を見たり、焼酎のおいしい飲み方を学んだりできますよ(※要事前予約)。

大分県南部のオススメ宿

海岸にたたずむ「海鮮の宿 まつ浦」

海辺でのんびり過ごしたい方には、佐伯市の「海鮮の宿 まつ浦」がオススメ。客室は広めの和室で、どの部屋からも海が見えます。絶景スポット「空の公園」や「鶴御崎灯台」へのアクセスも抜群です。

ホテル内のレストランで提供される海鮮料理は必食! 近くの魚市場で毎朝仕入れた魚介類を、料理長が最高においしい料理に仕上げています。秋は伊勢エビ、冬はフグといった、季節の恵みを心ゆくまで楽しめます。

ジオパーク内で遊べる「里の旅リゾート ロッジきよかわ」

豊後清川駅から車で3分で行ける「里の旅リゾート ロッジきよかわ」は、自然の中でリフレッシュしたい方に最適の宿。

泊る部屋は、秘密基地のようなツリーハウス8棟、ログハウス3棟の中から選べます。奥岳川の清流のほとりにあるため、川の音を聞きながらゆっくり休めますよ。

「ロッジきよかわ」の最大の魅力は、ラフティングや焚火、屋外での映画上映など、森と川を活かした体験。また、香り付きテントサウナから、奥岳川のエメラルドグリーン色の清流に直接行って泳げるのも「ロッジきよかわ」ならでは。

英語対応ができるスタッフがいるので、訪日観光客も安心ですよ。

新しい発見がいっぱいの大分県南部

「大分の魅力は温泉だけ」。そう思う人も、南部に行けば、そのイメージが覆されるでしょう。

500年、1000年という長い歴史が感じられるスポット、自然に寄り添い生まれた文化、息をのむような絶景……。大分の南への旅は、目を開かれる体験になるに違いありません。

In cooperation with 中和国際株式会社

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