WRC:シュコダ、ファビア・ラリー2エボのアップグレード公認を取得。モンテカルロで実装可能

 シュコダ・モータースポーツは12月21日、WRC世界ラリー選手権のWRC2/WRC3クラスやERCヨーロピアン・ラリー選手権で導入されているラリー2(旧R5)規定車両『シュコダ・ファビア・ラリー2エボ』のアップグレードパッケージが公認を受けたことを発表した。

 チェコの自動車メーカーが販売するファビア・ラリー2エボは、トックスポーツWRTによって2020年のWRC2クラス・チームチャンピオンを獲得するなど世界的に成功を収めているカスタマーラリーカーだ。

 そのファビア・ラリー2エボ向けにアップグレードパッケージが登場した。2021年モデルとなるこの仕様は、世界中のラリーコースでの競争力を確保することを目的に導入されるもの。
 
 走行性能やハンドリング、信頼性、部品の寿命、安全性、乗組員の快適性に関する改善が図られ、エンジンのパワーアップとドライバビリティも向上しているという。

 具体的には、搭載される1.6リットルターボエンジン用に新たなエンジンマッピングが導入するとともにインタークーラーとエキゾーストマニホールドの設計を見直すことで最大出力を2kW(約2.7ps)高め214KW(約290ps)とした。高速ラリー向けのロングギアセットを使用することで、トップスピードが15km/h向上するという。

 また、グリップレベルの低いサーフェス用に、グラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)の両方で使用できるディファレンシャルランプの第3セットの公認を取得。同時に新仕様となったZFダンパーと合わせて、あらゆる路面で高レベルのトラクションと安定性を提供する。
 
 さらに、高温エリアや低速ラリーでしばしば問題となる燃料の気化に対応するバルブを新開発し、システム内の過剰圧力を回避することで安全性が高められた。信頼性の観点では強化されたリヤアクスル・サブフレームの採用をはじめ、リヤブレーキ用の冷却装置(オプション)が用意されている。

シュコダ・ファビア・ラリー2エボ MY2021

 車内での変更点は新しいステアリングホイールの採用と、ジャッキの取り付け位置変更だ。ステアリングは最大8つのボタンを配置することが可能となり、ドライバーがハンドルから手を離さずに各種操作を行えることができるようになる。また、タイヤ交換時に使用するジャッキの取り付け位置を変えることでコドライバーの快適性が向上した。

「これまでにシュコダ・ファビア・ラリー2エボは、このカテゴリーで1255回もの勝利を収め、2948回の表彰台を獲得した」と語るのは、シュコダ・モータースポーツのディレクターを務めるミハエル・フラバネク。

「2021モデルでアップグレードされた部分は、世界中の顧客にさらなる成功をもたらすためのものだ」

「我々はヤン・コペッキー、オリバー・ソルベルグ、クリス・ミーク、ポンタス・ティデマンド、アンドレアス・ミケルセン、エミル・リンドホルムといったドライバーたちと、これらのコンポーネントを幅広くテストしてきた」

「MY2021のアップグレードは、私たちのカスタマーにより速く、より信頼性の高いファビア・ラリー2エボを提供するものと確信している」

 シュコダは2021年1月1日よりホモロゲーションが有効となる新コンポーネントの導入がWRC開幕戦モンテカルロ(1月21~24日)に間に合うよう、年明けの1月4日からデリバリーを開始するとアナウンスしている。

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