東京五輪 空手アメリカ代表の事前キャンプ誘致へ 佐世保市

米国オリンピック委員会の関係者が視察した県立武道館=佐世保市熊野町

 来年の東京五輪に向け、長崎県佐世保市は、米国空手チームの事前キャンプ誘致に乗り出した。10月には米国オリンピック委員会の関係者が市内を視察。別に誘致を目指すスペインのハンドボールチームと合わせ、可能な範囲でPRを続ける。
 県内の一部自治体は、2014年の長崎国体で培ったノウハウや施設を活用して地域活性化を図ろうと事前キャンプ誘致に熱を入れている。国体の際、ハンドボールや空手などの試合会場に選ばれた同市は昨年、スペインのハンドボール連盟との間で受け入れに関する基本合意を結んだ。
 市は今年5月ごろ、米国オリンピック委員会が、空手をはじめ、複数の競技の事前キャンプの受け入れを県に打診しているとの情報をキャッチ。同市では空手が盛んで、国体の空手会場だったこともあり、県に受け入れの意向を伝えた。
 10月11、12日、同委員会のスペシャルアドバイザーが同市内を訪れ、県立武道館(熊野町)や市中心部のホテルなどを見学した。子どもたちも演武を披露し、地元の「空手熱」をPR。反応は上々だった。後日、米国の空手道連盟から市に「事前キャンプ実施に向けて進めたい」との文書が届いたという。今後、基本合意の締結を目指す。
 ただ、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、誘致の成否は見通せない。スペインのハンドボールチームは男子の五輪出場は決まったが、女子は未定。昨年日本で開催された世界選手権で女子の事前キャンプ地だった滋賀県彦根市も誘致を目指している。佐世保市は基本合意こそ結んでいるが強い拘束力はなく、どう転ぶかは分からない。
 また仮に、男子だけの出場になれば、東京から離れた佐世保は不利になる可能性も。市は県とともに、ハンドボールに取り組む市内の小学生らが出演する応援メッセージを制作してスペインに贈る予定で、つなぎ留めを図る。
 米国の空手選手団はスタッフも含め約20人、スペインハンドボール選手団は約30人規模になる見通し。市は、交通費や宿泊費など両国の受け入れに関する費用を新年度当初予算案に計上予定。「新型コロナで市民との関わりは限られるかもしれないが、今後の各国との交流につなげる機会にしたい」としている。

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