マラドーナ氏と愛弟子メッシの意外な関係…後継者に「テベス」指名

マラドーナ監督はメッシを「世界最高の選手」と絶賛していた(ロイター)

【本紙が密着!南アW杯で見たマラドーナ監督のお騒がせ伝説(2)】サッカーの元アルゼンチン代表ディエゴ・マラドーナ氏が60歳で急死した。スター選手として数々の栄光をつかんだ一方、ピッチ外ではトラブルが絶えなかったが、本紙は同国代表監督として2010年南アフリカW杯に臨んだマラドーナ氏に密着。当時を振り返る連載第2回は愛弟子リオネル・メッシとの〝意外な関係〟を再検証する。

選手として1986年メキシコW杯で母国を優勝に導いたマラドーナ監督は23歳になったメッシを軸にチームを構築。すでに所属するスペイン1部バルセロナのエースとして世界的な名声を得ていたメッシはマラドーナの後継者として国民の期待を背負っていた。

指揮官は「レオ(メッシの愛称)は間違いなく世界最高の選手だ」とし「彼がチームを支えているんだ。メッシは86年に私が残したインパクトを超える活躍をするだろう。W杯の主役になってほしいし、あらゆる時代を通して最高の選手になるだろう。私が自信をなくしてしまうくらいに」と、自信家のマラドーナ監督も大絶賛した。

さらに「100万人に一人の選手だ」「「彼は自由にプレーして構わない」「彼がいるから私は幸せだ。試合でうまくいかないことがあってもメッシがいれば失望しない」と、まるで恋人をほめたたえるかごとく歯の浮いたコメントを連発。時にはメッシの居残り練習にも付き添うほどの相思相愛ぶりで、大会中にはゲームキャプテンに抜てきするなど、まさに特別扱いだった。

そんなマラドーナ監督が自身の後継者に指名にしたのは、意外にもメッシではなかった。W杯期間中に「好きな選手は?」と聞かれると、FWカルロス・テベスの名前を挙げた。「マケラーノ、ベロンは全選手を照らす役割を持つ。技術、フィジカル、精神面で尊敬に値する選手だ。その一方、カルリート(テベスの愛称)は国民のアイドル。国民のために誰か一人を選べというのならば、カルリートだ」

メッシとともに〝マラドーナ2世〟と呼ばれることもあった名ストライカー。実力に疑いはないものの、世界に大きな衝撃を与えるほどの活躍は見せていない。それでもマラドーナ監督は南アフリカW杯メンバーの中から、テベスを推し「彼はイングランドでも成功している。どんなユニホームを着ていても結果を出している」と理由を説明した。

では、絶賛し続けた愛弟子メッシのことはどう思っているのか。指揮官は「メッシはベストプレーヤーだ」と返答していた。

(続く)

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