子どもを祖父母に預けるときに心がけたい3つのこと

とくに子どもが小さなころは、祖父母のサポートは助かりますよね。ただし、祖父母といえども頼るときにはある程度の線引きが必要。高齢者にとって孫の世話は、体力的にも時間的にも金銭的にも負担があり、最近では、「孫疲れ」という言葉も言われています。祖父母にとって孫を預かることはうれしい反面、ストレスもあるということ。では、どのようなことを心がけて、子どもを預かってもらったらよいのでしょうか。

祖父母の「気持ち」を確認する

祖父母と言っても、ママにとって実父母なのか、義父母なのかも大きな違いです。

実父母の方が気兼ねなくお任せできてよい気もしますが、逆に近しいがゆえにコミュニケーションが難しい場合もあります。また、義父母の方が気兼ねすると思いきや、適度な距離感で付き合いやすいという話も聞きます。つまり、義父母でも構え過ぎない方がよい場合もあるということ。

いずれにしても普段から、祖父母とのコミュニケーションを大事にすることをベースにします。その上で、以下の3つのポイントを確認していきましょう。

そもそも預かってくれるのかを確認する

祖父母なら「孫が来たらうれしいに違いない」「孫の世話をしたいに違いない」と思ったら大間違い。親しき仲にも礼儀あり、事前の相談は必須です。祖父母にも、大切にしている生活リズムや予定があります。仕事をしていることもあります。事前に相談して、預かってもらいたいことをお願いし、曜日や時間的なことも確認しておきましょう。「習い事をしているから、水曜日はNG」なんていうこともあるかもしれません。

また、体力的に難しい場合もあるでしょう。祖父母の状況を確認して、無理ない範囲でお願いすることが鉄則です。相談しながら「週に2回程度ならOK」など、状況と意向を聞いておきましょう。

「いつでも」「急に」は難しいこともあると心得よ

「通常は保育園に行っているけれど、急に残業の場合にお迎えをお願いしたい」「子どもの体調が悪くて保育園に預けられないときに、預かってほしい」というときもあるでしょう。このようなときは、「急」なことが多いですよね。

そもそも祖父母が「急に対応できるのか」ということを確認しておくことが大事です。もちろん「急でもOK」と聞いていても、その日はNGという場合もあります。お願いする可能性がある場合は「〇日は残業になるかもしれないけど、その場合は、お迎え頼める?」など。事前に状況を聞きつつ、相談しておくことが大事です。

緊急時は交通費を出して呼び寄せる手も

祖父母が遠方に住んでいる場合、日常的にサポートを頼むことは難しいかもしれません。ただ、パートナーの長期出張や、仕事のプロジェクトの都合でどうしてもこの期間が忙しいなどの場合。一定期間だけ、遠方の祖父母を呼び寄せて対応しているという方もいるようです。

その場合は、電車やガソリン代などの交通費は自分たちでもつなど、金銭的な負担をかけないようにできるとよいでしょう。

当たり前と思わず、お礼も考える

祖父母にお願いする場合に、「預かってもらうのは当たり前」という気持ちは捨てましょう。祖父母にとっては、体力的にも時間的にも負担がかかります。おやつや食事などを出せば、金銭的な負担もかかってきますよね。子どもの機嫌のよいときであれば手がかからなくても、機嫌が悪ければそれなりのパワーを使います。

「今日もありがとうございます」「助かりました」「活発になってきたから大変だったでしょう」などの、お礼やねぎらいの言葉は、忘れずに伝えるようにしましょう。

自分たちの家と違い、祖父母の家は乳幼児が過ごす生活空間にはなっていないはず。「けがをさせないように」など、いろいろ気を遣ってくれていることもあるでしょう。場合によっては清潔に心掛けたり、危ないものを移動したりなども配慮をしてくれているかもしれません。

働いている祖父母であれば、パートなどの仕事を休んで対応してくれるケースもあります。「たまに」ならいいけれど、毎週何日かなどの場合は、あらかじめ謝礼の用意も考えておきましょう。事前に伝えておくと、そのお金で子どもが過ごしやすい環境を整えてくれることもあるかもしれません。

「お金なんていらないよ」と言われれば、その言葉に甘えてしまえば大丈夫。ただ、こちらからの意向として「謝礼を渡したい」と伝えることで、「大変だということを理解している」という気持ちは伝わります。

謝礼を受け取らない場合にも、美味しいものをいただいた時のお裾分けや、出かけた時に手土産を買うなど。ちょっとした心遣いをすることで、気持ちよく預かってもらえますよ。

子育てのNG事項は、最低限に

もうひとつ心がけたいのは、祖父母に預けるときに、たくさんの注文をしないこと。やってほしくないNG事項だけを最低限伝えるようにしましょう。

親として、「チョコは食べさせないで」「お昼寝の時はこうして」など、いろいろな段取りや考え方があるでしょう。でも、たくさんの禁止事項や、決まりごとの手順があると、気を遣って大変です。

親と祖父母の対応の仕方が違っても、子どもは、基本的に混乱することはありません。「おじいちゃんおばあちゃんの家ではこうだな」と対応を理解し、過ごし方を変えたりします。それが社会性です。たとえば「アレルギーがあるので、○○は食べさせないでください」など。どうしてもNGのことだけを、わかりやすく端的にお願いするようにしましょう。

節度と感謝を忘れないことが大事

「孫がかわいい」と言ってくれる祖父母であっても、預かってもらうときには、節度と感謝を忘れないことが大事です。相手の立場を考え、状況を聞いて考慮しつつ、可能な範囲でお願いする。そして、預かってくれたことに対してお礼の気持ちを伝えるようにしましょう。

祖父母に頼めないときは、自治体や一時預かりサービスなどもうまく活用し、お互い気持ちよく過ごせる関係をつくれるとよいですね。

著者紹介
高祖常子(こうそ・ときこ)

子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント

資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事や行政の委員も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)、『感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。3児の母。

これまでの【子育てアドバイザー高祖常子さんに聞く「イライラしない子育て」】は

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