猪木氏が振り返る〝振り回された20年〟 東京五輪は〝おもてなし〟だけに「裏ばっかり」

振り回された2020年にダーッ!!

【闘魂師弟対談・後編】〝燃える闘魂〟アントニオ猪木氏(77)が2021年へ雄たけびだ。今年9月30日には猪木氏がデビュー60周年を迎えたこともあり、弟子でバルセロナ五輪柔道95㌔超級銀メダルの〝元暴走王〟小川直也氏(52)が祝福に訪れて聞き手に立候補。まさかの〝師弟対談〟が実現した。新型コロナウイルスに振り回された20年を猪木氏はどう見たのか、さらに21年はどう生きるべきか? 今後も「闘魂節」から目が離せない!

小川 東京五輪についてはどう思われますか。コロナで延期になって来年に開催しようとしてるじゃないですか。

猪木 できるの? 逆にオレが聞きたいよ。わかんない。おれは最初から無理だろうって言ってたんだけど。「スパーン!」と中止の判断をしてしまえばよかったんですけどね。まあ、世の中に裏と表があるのはしょうがない。フフフッ…。

小川 裏の部分ですか?

猪木(2013年に)アルゼンチンで東京五輪が決まった時に「おもてなし」って言ってたけど、要は表がないんだろ。裏ばっかりっていう。

小川 なるほど 東京五輪はそっちの「表なし」ですか! 深いなあ…。ということは会長的には中止がいいですか。

猪木 いやいや、やってもらったほうがいいと思うけど、無理だろという。日本ができても外国なんか無理でしょ。

小川 その通りですね。五輪といえば柔道の阿部一二三(23=パーク24)と丸山城志郎(27=ミキハウス)の男子66㌔級代表決定戦(12月13日)はご覧になりましたか。

猪木 ちょっと見ただけだね。

小川〝令和の巌流島〟ってタイトルが付くくらい内容も非常に良くて、緊張感があったんでみんな感動した試合でした。まさに会長の試合のような緊張感でした。会長とマサ斎藤さんの〝昭和の巌流島〟がそうでしたからね。一方で最近のプロレスはどう思いますか。

猪木 見てないんだよ。でも最近、どうしてもプロレス関連の話が多いんでね。それはそれでね。やっぱり昔の話は誰も知らないから、生で聞きたいっていうのもいるんだよ。

小川 はい。生で聞きたいことが多いです。

猪木 フッフフ…。

小川 じゃ、60周年じゃないですか。ここでプロレス界にひと言、ガツンとぜひ!

猪木 うん。こういう「人が寄っちゃいけない」「大きな声を出しちゃいけない」「しゃべっちゃいけない」じゃ(興行も)どうしようもないけど、どっちにしてもコロナも収まる時が来ると思うんだけどね。その時に「塞翁が馬(人生の幸不幸は予測できない)」じゃないけど、新しい発想というか、そういう姿勢でいることだね。

小川 なるほど。

猪木 人にはそれぞれ与えられた役割があって、その役割に気づくか気づかないか。気づかないで終わってしまう人もいるし。それぞれが与えられた役割を精一杯。そんなこと考えることはアレかもしれないけど、これを機会にしっかり考えて。何でもいい。自分ができること。簡単なことをいえばトイレの掃除をするとか。人が見ているわけじゃないし自慢するわけじゃないけど、そういう生き方を考えるのも大事だなあと思うね。役割っていう意味じゃ、俺ももう一回世界に向けて「バカヤロー」って、大きな声をたてられて死んでいけたらいいなあ。

小川 いやいや、会長はいつまでもお元気でいられてください。

猪木 橋本くん(19年夏に亡くなった田鶴子夫人)がそばが好きで、オレもおいしいものが大好きなんで、2人で全国を回ってきたんだ。それで(夫人の)供養ツアーをしようということで、そば屋を何軒か行ったんだけど、オレの体力も持たなくなってきてさ。

小川 じゃ、コロナが終わったらもう一回、供養ツアーを計画して。その時はオレもぜひお供させてください!

猪木 早くみんなでね。そういう供養ツアーをやりたいね。やっぱり、食べるものを食べないとダメだし。

小川 その時は藤田(和之)とか、他の弟子も呼んで。会長が元気出ないと、オレら弟子も元気出ませんから! 本日は本当にありがとうございました!

(終わり)

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