【箱根駅伝】なぜ沿道の〝応援〟を禁止にしないのか…各方面から疑問の声

昨年は多くの観衆が沿道から声援を送った(代表撮影)

大きなトラブルが起きなければいいが…。新型コロナウイルス禍の影響で、開催も危ぶまれた第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が来年1月2、3日に行われる。今大会は感染症対策を施した中でのレースとなるが、主催者の関東学生陸上競技連盟(関東学連)のコロナ対応を巡って各方面で波紋が広がっている。

関東学連は9月にコロナ対策として、2020年度の主催大会をすべて無観客で実施すると発表。箱根駅伝も事実上無観客になるとの見方が強まった。しかし、12月上旬には関東学連のホームページ上から無観客という文字が削除され「応援の自粛を要請します」と繰り返し呼び掛けるようになった。この件について、ある関係者は「無観客っていうのはあくまで加盟校向けの話。一般の方に向けてはあくまでお願いベースなので自粛という形を取っている」と説明した。

しかし、周囲の視線は厳しい。「中居正広のニュースな会」(テレビ朝日系)などに出演しているナビタスクリニックの久住英二理事長は「正月はみんな暇だから沿道に来る。そこで感染が起こりうるので〝見に来ないでください〟ってやるのは悪いことではない。しかも観客をコントロールすることはできないので」と一定の理解を示しながらも「観客に関してはこのご時世なので、自粛ではなくて禁止でいいと思う。自粛って『自らの考えで辞めてくださいね』っていうことなので。沿道で人が固まって旗を振っていたりしたら、警察の人に排除されますよと。人が集まってそこで感染者が出たら大会そのものが台無しになるので『絶対に来ないでください』というようなメッセージを出した方がいい」と指摘した。

箱根駅伝ファンからも「選手たちをコロナに感染させないっていう思いがあったら、沿道での応援を禁止にできたのではないか。何か問題があったときに関係ない選手まで悲しい思いをしてしまう」「推測だけど、責任を取りたくないから要請にするのが無難ってことなのでは」などと疑問の声が飛び交っている。

実際に、全日本大学駅伝(11月)や全国高校駅伝(12月)では沿道に多くの観客が詰めかけており、駒沢大の大八木弘明監督(62)も「無観客という形で応援も自粛という形をとっているが、多少は沿道に観客が出るのでは」と表情を曇らせる。

関東学連側は、観戦者らに対し「帰宅を促すようにする」との方針だが、果たしてどうなるのか。感染者が出た場合、大会の成功に水を差してしまうことは間違いないだけに、慎重な判断が求められそうだ。

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