コロナ禍で浸透する? 「キャッシュレスお年玉」は是か非か

お正月で特に子どもにとって最も嬉しいのが「お年玉」。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年は親戚に会えないお正月となる人が増えそうです。

そんな中、総合マネースクール、ファイナンシャルアカデミーが、「キャッシュレスお年玉」についての意識調査結果を発表しました。QRコード決済や電子マネーで渡すキャッシュレスお年玉は、コロナ禍で浸透するのでしょうか。

今回はこのデータを元に、キャッシュレスお年玉に迫りたいと思います。


キャッシュレスお年玉賛成派が増加

これは、子どもがいる20~50代までの男女300名に対して行った「キャッシュレスとお年玉に関する意識調査」です。

まず始めにご紹介したいのが、「お年玉のキャッシュレス化についてどのように思いますか?」という質問への回答。耳慣れないワードで、どことなく即物的なようにも聞こえるキャッシュレスお年玉ですが、「とても良いと思う(10%)」「まあ良いと思う(41%)」と過半数の人が肯定的に回答しています。

ファイナンシャルアカデミーで過去2年間の同様の調査結果では、キャッシュレスお年玉を肯定的に考える人が30%台でした。2021年の新年では肯定的に考える人が増加しました。コロナ禍における「会えないお正月」では、キャッシュレスであってもお年玉はあげるべきだと考える人が増えているようです。

一方、過半数には満たないものの「あまり良いとは思わない(33%)」「全く良いと思わない(16%)」と、反対派もいます。賛成派・反対派双方の意見は次の「お年玉のキャッシュレス化に対する、賛成・反対の理由」を見てみましょう。

賛成派の1~2位が「支払いが便利」「コロナ関連(衛生面・帰省ができない)」と答えているのに対し、反対派の1~2位は「お金のありがたみ、価値がわからない」「伝統だから、情緒がない」という意見でした。

「キャッシュレスでお年玉」をあげる理由とは

「キャッシュレスでお年玉をあげる理由」の1~2位はやはり新型コロナウイルス感染拡大の影響によるもの。やむを得ずにキャッシュレスお年玉を実施する人が多いことがわかります。

その手段については、スマートフォンでのPayPay、LINE Payなどを用いたQR決済が1位で、2位以下は様々な業態が展開する電子マネーが並びます。キャッシュレスお年玉をあげようと考える人は、もらう子どもがどんなキャッシュレス決済を使っているかを、事前に把握するとより良いように思いました。

一方で、「2021年はお年玉をどのようにあげますか」という問いには、「現金であげる」と答えた人が7割を超えました。「キャッシュレスお年玉」には賛成しつつも、実際のお年玉となると躊躇する人が多いようです。

キャッシュレス社会での金融経済教育のあり方は?

お年玉は子どもにとって嬉しいものでありながらも、お金をもらうことで自然とお金の大切さや使い道を学ぶことはもちろん、「もらったものに感謝する」「きちんとお礼をする」などの礼儀も勉強できる行事でもあります。

キャッシュレスお年玉に反対する理由で、もっとも多かった回答が、「お金のありがたみ、価値がわからない」でした。そこで調査では、今後拡大するキャッシュレス社会において、「金融経済教育のあり方は変わる(さらに重要になる)と思いますか?」とも聞いています。

その結果、「とてもそう思う(25%)」「まあそう思う(54%)」と、8割弱の人が金融経済教育の変化と重要性を感じていることが分かります。あらゆる場面でキャッシュレス化が進化し、サービスも入り組んでいる今だからこそ、お金の大切さ、お金の機能、お金の使い方を改めて子どもたちに教えることは、喫緊の課題と言っても良いかもしれません。

子どもたちに「お金を正しく扱えるよう」願いながら迎える新年

これまで紹介した通り、子どもにとって嬉しいものであり、「お金を学ぶ」ことのファーストステップでもあるのがお年玉です。2021年の新年は、例年通りとはいかず、家庭ごとに様々なかたちのお正月を過ごすことと思います。

コロナ禍のお正月を逆利用して、お子さんと語らう時間をより多くし、お年玉を「あげる・もらう」というやり取りをきっかけに「これからのお金にまつわる話」「キャッシュレス社会の話」をするのも良さそうです。

例年にない2021年の新年。子どもたちに時代に応じた「お金を正しく扱えるよう」に願って迎えられると良いですね。

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