【取材のウラ側 現場ノート】50歳の鉄人の再起を支えていたのは、ラグビー界の鉄人だった!

杉浦(左)と大野氏。知られざる男の友情秘話がいま明かされる

ノアの杉浦貴(50)は桜庭和志(51)とのコンビで、東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」最優秀タッグ賞を獲得。50代にしてなお進化を続けている。

実は杉浦は、ラグビー元日本代表で史上最多キャップ「98」を誇るロックの大野均氏(42=現東芝ブレイブルーパス普及担当)と飲み友達だった。

2015年1月に共通の知人を通じて知り合って以来何度も酒席をともにした。同年のイングランドW杯1次リーグ初戦で、日本代表が南アフリカを撃破する歴史的大金星(15年9月19日)を挙げて帰国した後も祝杯を上げた。その際、大野氏は突然に「これ、杉浦さんに」とW杯で着用した日本代表の練習用ジャージーにサインを入れてプレゼントしてくれたという。

その大野氏は5月18日に引退を発表。杉浦はショックを受けたが「均ちゃん(大野の愛称)が決めたことだから、本当に燃え尽きたんでしょう。お疲れさまでした。夢と希望をもらったから、俺も頑張るしかない」と決意を新たにした。

引退発表の9日前にはGHCナショナル王座を失っていたため、代表のジャージーを着た杉浦の写真を掲載して「大野の魂を継いで再起へ」という記事を書いた(5月22日発行本紙)。

取材の際、杉浦は「実は数年前に携帯を失くして均ちゃんの番号が分からなくなっちゃって…。いずれ慰労会もやりたいし、何とか連絡取る手段ないですかね?」と明かした。

記者は「ちょっと方法考えましょう」と答えたが、その必要はなかった。本紙記事を見た大野氏から、掲載3日後に杉浦に「ありがとうございました」と電話がかかってきたというのだ。しかも「記事にしていただいてありがとうございます」とまで語っていたという。感激した。そして8月30日、杉浦は見事にGHCタッグ王座を奪取した。

新型コロナウイルス感染拡大のため、慰労会はまだ実現していない。しかし、事態が落ち着いて杉浦主催の大野氏の慰労会が実現すれば、ぜひ取材したい。もし、改めて引退試合やセレモニーが行われるのなら、大野氏の雄姿に杉浦とスタンドから声援を送りたいと心から願う。(プロレス担当・平塚雅人)

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