注目の品種や淹れ方バリエ…お正月に楽しみたい「コーヒー」豆知識♪

スペシャルティコーヒー専門店「Scrop COFFEE ROASTERS」のバリスタ西崎勇輝さんによる連載「バリスタ直伝!コーヒーをもっとおいしく楽しむヒント♪」では、毎月1回コーヒーをもっと気軽においしく楽しむヒントをお届けします♪
おはようございます。「Scrop COFFEE ROASTERS」のバリスタ西崎勇輝です。

コーヒーをもっとおいしく楽しむためのヒントを紹介する本連載。3回目となる今回のテーマは「お正月におうちでゆっくり楽しむコーヒーガイド」です。

コーヒーにまつわる発見や楽しみ方をご紹介しますので、くつろぎながら読み進めるうちにコーヒーが飲みたくなったら…是非過去の連載記事を参考にしておうちで美味しいコーヒーを抽出してみてくださいね。

それではまず、近年のコーヒーを語る上で欠かせないあるコーヒーのお話から。

コーヒーの世界を大きく変えた!魅惑の「ゲイシャコーヒー」

最近スペシャルティコーヒーショップではもちろん、雑誌やテレビで度々取り上げられているのが、ゲイシャコーヒーです。

ゲイシャは豆の品種の名称で、エチオピアのゲシャ村が発祥であることから名づけられています。日本的な響きですが、芸者さんとは全く関係がありません。

一躍有名になったきっかけは、毎年パナマで開催されている「ベスト・オブ・パナマ」(通称BOP)という品評会で、当時(2004年)の史上最高値を更新しゲイシャ種のコーヒー豆が1位に輝いたこと。

そんなゲイシャコーヒーの何が凄いのか?それは「コーヒーの概念を変えた味覚体験」にあります。

それまで一般的だったコーヒーとは明らかに異なる、紅茶や花のようなフレーバー、きらきらとしたフルーツのような上質な甘さと酸味、すっきりとした飲み口。

誰が飲んでもその違いが明確にわかるゲイシャコーヒーは、瞬く間に世界中に広がり、コーヒー界のトップオブトップに君臨したのです。そしてその評価は現在も高まり続けています。

(2019年のBOPで2位に輝いたジャンソン農園のカイ・ジャンソン氏とScrop青山店にて)

私が所属するScrop COFFEE ROASTERSでもゲイシャ種にこだわりを持ち、現地での直接買い付けや、オークションロット等の希少品を扱っています。

お店でも気軽に楽しめるコーヒーとしてゲイシャ種のコーヒーを提供していますが、それは私達が産地で働く人たちの“美味しいコーヒーを届けたい“という想いを直接受け取ったことがとても大きな理由です。

日本でたくさんの人にゲイシャ種というコーヒーを楽しんでもらいたいと考えています。

自分の好みを見つけよう!コーヒーの淹れ方

さて、注目のコーヒー豆の次は、おうちでコーヒーを楽しむときに知っておきたい「淹れ方バリエーション」をご紹介します。

まったく同じ豆を使っても、淹れ方によって大きく印象が変わるのがコーヒーの面白い部分のひとつ。スペシャルティコーヒーショップで代表的な抽出方法に絞って、おおまかな味の印象を解説していきます。

あくまで目安にはなりますが、おうちコーヒーや外でコーヒーを楽しむ際の参考にしてくださいね。

  • ハンドドリップ(ペーパーフィルター)

紙のフィルターを通すことで、飲み口がとてもクリアな仕上がりになるのが特徴。すっきりとした味に仕上がる傾向が多く飲みやすい。反面、しっかりとした味わいが好きな人には物足りないことも。

  • ハンドドリップ(金属フィルター)

紙よりも目が粗い金属フィルターで淹れることによりコーヒーの油分まで抽出され、豆の持つフレーバーをはっきりと感じられる味わいに。一方、フィルターを通過した粉によるざらつきを感じることがある。

  • フレンチプレス

粉をお湯にしばらくつけてから金属フィルターを通して抽出するフレンチプレス。コーヒーの味や香りをダイレクトに楽しめる。金属フィルターによるざらつきや、使用するコーヒー豆によっては味が強すぎる場合も。

  • エアロプレス

空気圧でコーヒーを抽出するエアロプレスは、ハンドドリップとフレンチプレスをミックスしたような味わい。フィルターもペーパーと金属のどちらも使えるため、好みによって付け替えが可能。

  • コールドブリュー

低温の水に漬けて抽出するため、まろやかで甘みのある味わい。苦さをほとんど感じないものが多い。

いかがですか?淹れ方による味わいの違いを知るためには、同じコーヒー豆で飲み比べをしてみてください。自分好みの淹れ方に出会えると、おうちでのコーヒータイムがもっと豊かになりますよ!

スペシャルティコーヒーって?

コーヒーにまつわるあれこれを紹介するときに欠かせないのが、本連載でも度々使用しているスペシャルティコーヒーという言葉。これは世界の全コーヒー生産量のうち、わずか6~7%程度しか流通していない希少なコーヒーのことを言います。

スペシャルティコーヒーであることの条件は、トレーサビリティが明確であり、何処の国の、どの農園の、誰が、どうやって栽培し、収穫し、どういった処理を行ったのか等の具体的な情報が必要です。また、毎年持続可能な状態で農園が運営されていることも大事な要素です。産地の農園がサスティナブルであるためにも、公正な取引を通して産地の発展を促すことはとても重要だと、スペシャルティコーヒー業界では考えられています。

厳しい条件を満たすからこそ、その土地の気候や土壌から生み出される風味特性はとても魅力的です。すべてはコーヒーの飲み物としての価値を高めるため。徹底したクオリティが保たれているものがスペシャルティコーヒーと認められています。

日本でのスペシャルティコーヒーの消費量も年々増加しています。

今月おすすめのコーヒーは「ジャンソン農園 ゲイシャ種」

最後に、今月おすすめしたいコーヒー豆を紹介します。

私が大好きな農園のひとつにジャンソン農園があります。世界的に優良な農園が数多くあるバル火山の北西、ボルカン地区にある農園で、コーヒー栽培に恵まれた気候条件、自然との共生を大切にした農法により、広大な農園から数多くの特別なコーヒーが毎年生み出されています。

以前私達が取り扱ったロット(商品番号のことで、収穫した区画や処理、品種、収穫日ごとに別々のものが付けられる)では、月の満ち欠けによる糖度の変化を観測し、一番甘さが強くなる日に収穫したコーヒー等もありました。

Scrop パナマ ジャンソン農園 ゲイシャ lot.162 ナチュラル

今回はそんなジャンソン農園のゲイシャ種よりlot162をご紹介します。カシスや、トロピカルフルーツを思わせるフレーバー。ゲイシャ種特有の花のようなアロマも感じられて、おめでたいお正月にぴったり。

ミルクを加えることでブルーベリージャムやキャラメルのような甘さも楽しめる、とても魅力的なコーヒーです。

その他にもジャンソン農園のコーヒーは年間を通して様々なロットを取り扱っているので、是非Scropの公式サイトをチェックしてみてくださいね!

みなさんのモーニングコーヒーがより上質なものとなりますように。

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