2021年は初詣も控えるべき?コロナ禍での意識調査、年代ごとのギャップが浮き彫りに

冬を迎え、再燃している新型コロナウイルスの感染拡大。例年であればお正月は初詣に行き、なかなか会えない親戚や友人と過ごす人が多いですが、コロナ禍で迎える新年はそういうわけにはいかなそうです。

そんな中、市場調査・マーケティングを行うゼネラルリサーチが興味深いデータを発表しました。「来年(2021年)の初詣・参拝とオンライン化」の意識調査で、全国の20~30代の男女1120人を対象としたもの。

年代ごとに異なる来年(2021年)の初詣に対する年代別の考え方の違いや、「新しい参拝様式」に対する興味深い結果などが明らかになっています。今回はこのデータを使って、「コロナ禍での初詣」について考察していきます。


「初詣に行く」意思を持つ人が多いのは20代

最初の質問は「来年(2021年)の初詣・参拝に関して今の考えを教えてください」。まず意外だったのが、各年代に共通して「行くと思う」「おそらく行く」と思うと回答した人が半数前後いたことです。

他方、「おそらく行かないと思う」「行かないと思う」と回答した人も半数弱を占める結果となりました。

「行く」「行かない」を年代別に見てみると、「行く」意思を持つ年代は20代が最も多く「行かない」意思を持つ年代は40代が最も多い結果に。

もともと行動力があり深刻な感染者が少ない20代と、感染すると仕事や家族との関係に大きな影響を及ぼす40代で、ライフスタイルの差が顕著に現れているようにも感じられる結果でした。

コロナ禍以前の初詣の楽しみ方と、新年の参拝で「できない」と思うこと

続いての質問は「新型コロナウイルスが発生する前までの初詣・参拝の楽しみ方や主な目的を教えてください」というもの。80%を超える人が「参拝・賽銭をする」と答えているのは想像通りですが、次に多かった「1年の始まりを実感」「雰囲気を味わう」は情緒的なものです。だからこそ、コロナ禍で迎える新年が寂しくも感じました。

改めて、多くの日本人にとっての初詣は、祈願そのものだけでなく、大切で意味のある行事であることを実感します。

また、「来年(2021年)の初詣・参拝でできないと思うことを教えてください(複数回答可)」という質問もありました。

「手水舎で手、口を清める(58.1%)」「鈴を鳴らしての参拝(39.3%)」「カウントダウンに参加(34.8%)」という、「密を回避する」「無闇にモノに触らない」といった感染対策に沿ったものが上位を占めました。

意外だったのが「賽銭箱にお金を入れる(16.4%)」「おみくじやお守りの購入(15.8%)」「御朱印をいただく(11.1%)」といった声も多かったこと。これらの行動に対しても、危機感を持つ人が一定数にいることを示しています。

初詣・参拝のオンライン化は、縁起に影響がなさそうなものが望ましい?

次の質問は「初詣・参拝で取り入れられたら体験してみたいと思うものを教えてください」というもの。コロナ禍以降、あらゆる分野でオンライン化が加速していますが、これを初詣に置き換えた際、多くの人はどのようなものなら体験したいと考えているのでしょうか。

回答は、「オンラインおみくじ(29.2%)」「キャッシュレス賽銭(26.9%)」といった比較的、ご利益に影響を及ぼさないようなものが上位を占めた一方、縁起に影響しそうな「オンライン厄払い(8.6%)」「オンラインお清め(8.1%)」は下位になりました。

その理由を見てみると、
「厄除けや御朱印、お賽銭は直接神様や宮司さん、巫女さんとやりとりしたい(20代女性・京都府)」
「厄除けだけは直接厄払いして頂きたい(50代男性・愛知県)」
といったものでした。「参拝」という目的をオンラインで行うのは望ましくないと考える人が多い結果だと感じました。

一方、「境内でソーシャルディスタンスを確保しながら、各所にキャッシュレス賽銭があったら施策としてどうですか?」という質問では、「とても良いと思う(13.9%)」「どちらかといえば良いと思う(43.4%)」と、半数以上のほうが賛成の声を上げています。

一見味気なく感じるキャッシュレスでの賽銭ですが、コロナ禍における施策としては多くの人が理解を示す結果となりました。

初詣・参拝にも“新しい様式”の体制作りは避けて通れないもの

そして最後の質問は「これからの時代、初詣・参拝も“新しい様式”を生み出していくべきだと思いますか?」というもの。

20代~50代の人が「はい」と答えたのに対し、60代の人は「いいえ」が過半数を上回る結果となりました。どことなく「デジタルを使いこなし、合理性に対する柔軟性を持つ世代」と「伝統や様式を重んじる世代」との対立のようにも映ります。

「伝統を続けていくために進化させられるアイデアは?」という質問に対しては

「賽銭やお守りなどのキャッシュレス化はどんどん進めるべきだと思う(30代男性・神奈川県)」
「初詣の期間を1月いっぱいに延長して分散参拝し易くする(50代男性・埼玉県)」
といったものが上がりました。初詣・参拝もまた“新しい様式”を、デジタル・アナログ双方をうまく取り入れ感染を防いでいくべきだとも感じます。

あらゆる神社仏閣とその儀式では、宗教観、長い歴史、伝統に基づいた「様式」を重んじます。しかし、新型コロナウイルスという目に見えない猛威と共存しながら人々の思いや慣習を守っていくためには、柔軟で合理的な体制の変更も必要だろうと実感しました。

来年(2021年)の初詣・参拝では、初詣に行かれる方自身も能動的な感染防止対策をしてお参りに行くべきだと思いました。

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