【取材のウラ側 現場ノート】国内外で3試合連続の予選落ち――。女子ゴルフの渋野日向子(22=サントリー)は2020年のシーズン序盤で思わぬ苦戦を強いられた。
ゴルフは調子と成績が必ずしも一致しないスポーツなので、できれば使いたくないのだが、当時「不調」という言葉を何度か記事でも使用した。
「不調」を使いたくなかった理由はもう一つある。渋野が意図的に理想のスイングで開幕を迎えていなかったからだ。
青木翔コーチに「後出しの言い訳みたいになるから」と以前から口止めされているので詳細は書けないが、昨オフ、渋野は試合を重ねるごとに出る〝ある癖〟を必要以上に矯正した。
徐々に癖が顔を出すことでシーズン中盤に理想的なスイングになり、終盤にさらに癖が強くなっても許容範囲に収まるというのが描いたシナリオ。ある程度、コントロールされた調子の波を表現するのに「不調」という言葉はネガティブ過ぎるだろう。
シナリオを当初のスケジュールに重ねてみよう。開幕は2月、東南アジアでの米女子ツアー2連戦。ピークを合わせたいのは半年後、連覇がかかる海外メジャー「AIG全英女子オープン」(8月)だ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実際に開幕を迎えたのは6月の国内ツアー「アース・モンダミン杯」。その半年後、海外メジャー「全米女子オープン」(12月)で渋野は優勝争い(通算1アンダーの4位)を演じた。
繰り返すが、ゴルフは調子と成績が必ずしも一致しないスポーツ。4か月遅れでシナリオ通りに事が運んだ――と書くのはやめておいた方が良さそうだ。
(ゴルフ担当・田中宏治)