中国漢方とツボで免疫アップ 予防のための中国漢方薬(前編)

冬の風邪、フルーと免疫 予防のための中国漢方薬

Q. 中国漢方における「免疫」とは?

A.

中国漢方で最も重要なコンセプトが(病気の)予防です。菌やウイルスなど、外敵に対して人間の体が持つ抵抗力を「Wei Qi(正気=せいき)」といい、それが予防のための重要な役割を担います。つまり、西洋医学における「免疫」です。「気」とは、体が存在し、絶え間なく活動を続ける基盤になっているもの。それが「正しい」状態にあれば、体は健康でいられます。

Wei Qiは、体の表面を覆っており、強力なWei Qiは外敵が体内に侵入しないよう外側で食い止めてしまいます。Wei Qiが弱まると、体にさまざまな外敵が侵入し、問題が起こり始めます。風邪やインフルエンザを予防できるかどうかは、免疫、つまりWei Qiが正常に機能しているかどうかにかかっています。

免疫機能向上に効果がある中国のハーブ: ❶Astragalus(黄芪)、❷Ganoderma(霊芝)、❸Cordyceps(冬虫夏草)、❹中国のデイツ(Ziziphus Jujuba Mill)や❺枸杞(Chinese Wolfberry)

Q. Wei Qiを強め、風邪やインフルエンザを予防するには?

A.

今年の冬は風邪やインフルエンザに加え、新型コロナの脅威もあります。咳やくしゃみが出ると、ただの風邪でも「もしかしたらコロナ感染?」とつい思ってしまいますね。そんな不安や心配をしなくて済むように、免疫/Wei Qiを強化するための漢方薬(ハーブ、実、野菜)をいくつかご紹介しましょう。これらはチャイナタウンの漢方薬局などで購入でき、飲み方も指導してもらえます。粉末状にした漢方薬商品についても、漢方薬局で尋ねるといいでしょう。

▼Astragalus(Huang Qi/黄芪)=肺機能を助け、免疫を強化することで、間接的に外敵から体を守ります。西洋医学における数々の研究で、黄芪の免疫強化効果が証明されています。

▼Ganoderma(Ling Zhi/霊芝)=マンネンタケ科のキノコです。血液を浄化し、精気を養います。西洋医学における数々の研究で、外敵と闘うための白血球を増やし、風邪やインフルエンザウイルスの体への侵入を阻害することがわかっています。特に、リンパ球系の免疫応答を調節する役目を担っているといわれます。

▼Cordyceps(Dong Chong Xia Cao/冬虫夏草)=これもキノコの一種で、土中の昆虫類に寄生した菌糸から、根っこのような物を作ります。衰弱した慢性疾患患者の治療に用いられてきました。腎臓の浄化機能に優れたハーブです。

中国のデイツ(Ziziphus Jujuba Mill)や枸杞(Chinese Wolfberry)も免疫機能を向上させます。

Q. 風邪やインフルエンザの症状緩和にはどんな漢方が?

A.

身近なところで、ショウガとニンニクがあります。科学的根拠はないのですが、ショウガは風邪による発熱、頭痛、消化器系の症状を緩和する効果があるとされています。ニンニクは、免疫を刺激することが多くの研究で分かっています。

サプリメントとして市販されるエキネシア(Echinacea)も、免疫を刺激することで風邪やインフルエンザの症状緩和に寄与するといわれますが、これも科学的データは乏しいです。ビタミン剤に含まれる亜鉛(Zinc)は、中国では風邪や糖尿病、リウマチ性関節炎の治療に使われてきました。

Q. 漢方やハーブを飲む際の注意点は?

A.

私の患者には、主治医による健康診断や診察を必ず受けるように指導します。西洋医学の薬を飲みたくないからと、漢方だけに頼るのもお勧めしません。漢方薬を飲む前に主治医に相談し、現在服用中の薬の効果を妨げないかなどを確認してください。(後編につづく)

リン・ゼン先生 (Ling Zheng, LAc)

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ニューヨーク州免許取得鍼灸師(LAc=Licensed Acupuncturist)。 中国福建医科大学卒業後、病院勤務や世界保健機関(WHO)医師団での活動を経て来米。 全米鍼・東洋医学認定委員会(NCCAOM)認定鍼灸師(Diplomate of Acupuncture)。 アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患、痛み、更年期障害、うつ、不眠症の治療など。 マンハッタンで1994年開業。 日本人患者の治療経験が豊富。

LZ & Manhattan Acupuncture, P.C. 14 E. 34th St., 5th Fl. (bet. Madison & 5th Aves.) TEL: 212-689-1773 lzacupuncture.com

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