【取材のウラ側 現場ノート】昨年12月の男子ゴルフの国内ツアー「日本シリーズJTカップ」で、2020年初となるトーナメントの現場取材に行った。
大会の前週にPCR検査を受け(唾液を採取する場所には、つばを出やすくするために梅干しとレモンの写真がたくさん掲げられていた)無事に陰性の通知を受けてから、いざ会場へ。
新型コロナウイルス禍の男女レギュラーツアーは全試合が無観客での開催。「日本シリーズ」ではコース内取材が許可されたため、久々にプロたちのプレーを直に見ることができたが、ギャラリーが皆無で静まり返った風景はやはり違和感があった。
屋外スポーツで密になりにくいゴルフは、コロナの状況下でも比較的安全とされる。他の種目では制限付きながらも観客を入れての試合が再開されているにもかかわらず、なぜゴルフはダメなのかを考えてみた。
まず「安全」なのは、1組4人。キャディー付きでも5人以下でプレーする状況でのこと。仮に選手100人が出場するトーナメントにギャラリー3000人が来たら選手一人あたり30人だから密は避けられる、とはならない。
多くのギャラリーは特定の人気選手に集中し、プレーに合わせて移動しながら観戦する。そのため他のスポーツと違ってソーシャルディスタンスを維持した「指定席」で観戦してもらうことが不可能だ。
さらに最寄りの駅や駐車場から試合会場まで運行されるギャラリーバスもぎゅうぎゅうに詰め込むことはできない。こうした部分的に発生する〝密〟をどう解決するかの方策が現状ではないのが観客を入れられない理由だ。
男女とも2020年と21年が統合されたシーズンの再開予定は、男子が4月で女子は3月。早くこんな心配事が笑い話として振り返ることができるような平常が戻ってきてほしいものだ。(ゴルフ担当・森伊知郎)