長崎県内政局 9市町で議員選

◎五島市(定数18)

 今回から定数が2減り18議席を争う。告示が今月31日に迫る中、現職17人の多くが立候補に意欲を示し、地域回りなどを活発化させている。新人や元職では、昨年の市長選候補者や、過去の市議選で次点に迫った候補者、議長経験者らが出馬意向を固めたもようだ。
 全体的には22人前後が争う厳しい構図となり、地盤以外への浸透も当落を決める鍵になりそう。有権者数に比べて立候補予定者が少ない地域もあり、直前まで出馬を模索する動きに目が離せない。

◎諫早市(定数26)

 今回から定数が30から4減となる。議員のなり手不足解消を目指し、定数を削減した後、報酬増額を市に求めたが、コロナ禍で見送られた。現職30人のうち、23人が現時点で出馬を検討。新人5、6人程度の名前が挙がっている。立候補者が30人前後ならば、ボーダーラインが前回より上昇し、少数激戦は必至。同日実施の市長選に現職県議が立候補した場合、県議諫早市区(定数4)が欠員2となり、50日以内に県議補選が行われる。日程次第で、市議のくら替えの可能性があり、情勢は流動的だ。

◎新上五島町(定数16)

 現職のうち15人が立候補に前向きな姿勢を見せ、1人が不出馬の意向を示している。前回は17人が争った。今回は複数の新人の名前が上がっている。
 ある現職は新人の立候補について「町議として生活が成り立つかを考えると、若い人たちは立候補をためらうのではないか。町は永続性があり、未来に引き継いでいくもの。30、40代の人たちに出てきてほしい」と期待を語った。

◎西海市(定数18)

 現職は死去と市長選出馬に伴う辞職で欠員2の16人。このうち別の1人が市長選へ出馬を表明し、2人が引退の意向。残る13人が立候補に意欲を示す。新人、元職は複数の名が上がっている。
 地方議員のなり手不足が指摘される中、市は今回の選挙から、選挙車両のレンタル費などを公費で負担する「選挙公営制度」を県内13市中11番目に導入した。
 一方で、2氏の市長選くら替えに伴い、定数割れや無投票を危惧する声も。無投票となれば市長選の関心低下にもつながる恐れがある。

◎対馬市(定数19)

 現職のうち少なくとも3人が「高齢のため」として不出馬の意向を示しており、5人が「出馬するかを検討中」としている。市議の平均年齢(1日現在68.9歳)が注目点の一つとなりそうだ。
 取材に対し、全島で新人2人と元職3人が出馬する考えを明確に示しており、特に上島地区が激しい戦いとなりそう。あいさつ回りやチラシの準備をしている立候補予定者もおり、5月に予定される選挙に向けて、今後動きが本格化するとみられる。

◎佐々町(定数10)

 現職の大半が出馬に前向き。一部は態度を明確にしていない。前回(2017年)、前々回(13年)はいずれも12人が争ったが、今のところ新人の立候補の動きは見られず、選挙戦になるかどうかは流動的。
 議会運営を巡っては、佐世保市などでつくる連携中枢都市圏(12市町)への加入について、町議会は当初の「拒否」の態度を一転させて加入を認めた経緯があり、一部町民の間では「不信感がある」との声も。議会として、まちづくりの姿を具体的に示せるかどうか試されそうだ。

◎壱岐市(定数16)

 現職16人のうち1人が引退の意向を示し、2人が態度を保留。13人が出馬する見通し。新人は、取材に対し5人が出馬に前向きな姿勢を見せている。
 前回の投票率は77.22%で過去最低を記録。今回はコロナの影響がどの程度反映されるかにもよるが、さらに低下すると見込まれる。当落ラインは650票前後か。
 地縁血縁が票獲得のポイントと言われ、議員に対する市民の地元意識は強い。前回は定数16に対し20人が立候補。うち11人が郷ノ浦町からで、落選4人は全員、同町からの立候補者だった。

◎平戸市(定数18)

 定数が2減の18となって迎えた前回は、19人が立候補し、激戦を繰り広げた。投票率は事前の予想を大きく下回り、73.84%で過去最低となった。当選ラインも521票で、前々回から200票以上も下がった。田平、生月地区から、それぞれ4人が当選したが、有権者が最も多い平戸島北部地区からは3人。各候補が大票田で浮動票獲得にしのぎを削ったとみられる。
 今回、現職の多くは出馬に前向き。今期限りでの勇退意向を明らかにしている現職もいるが、後継者擁立などの目立った動きはみられない。

◎雲仙市(定数19)

 前回は19議席を21人で争った。次回に向け、現職数人が引退を検討しているもようだが、表明には至っていない。
 現職の町別内訳は国見7人、瑞穂1人、吾妻2人、愛野1人、千々石3人、小浜3人、南串山2人。告示が近づくにつれ、各町の人口規模や引退する議員の数との見合いによって新人の動きが出てきそうだ。
 議会は昨年7月に活動報告会を予定していたが新型コロナ禍で中止。松尾文昭議長は「今年はぜひとも開催して市民の(市議選への)関心を高めたい」としている。


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