【2021年新年号】新年のご挨拶=ブラジル日本文化福祉協会会長 石川 レナト

石川会長

 ニッケイ新聞読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。
 昨年は想像だにしなかった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに見舞われ、世界中で様々な活動が停止した1年間であったと言えます。
 ここブラジルは、その中でも特にCOVID-19の蔓延が深刻な国として報道されていたことにより、日本はもちろん世界中の日系人の方々より、心配とお見舞いの言葉を多数お寄せいただきました。
また、弊会が主催もしくは共催や後援をした様々な活動の中で、特にコロナ禍の食事支援活動「アグア・ノ・フェジョン」や「コロナ防壁キャンペーン」、ブラジル日本移民史料館および日本館の運営管理費調達のための「アミーゴキャンペン」等に、実に多くの方々のご協力を賜りましたことに、この場をお借り致しまして改めてお礼申し上げます。
さて、本年は、十二支で言うと「丑」(うし)年で、さらに詳しく十干十二支で言えば「辛丑」(かのとうし)という年周りだそうです。
 まず「丑」の特徴ですが「粘り強さ」「誠実さ」「我慢強さ」が挙げられ、どんな困難にもめげずに目標達成のために努力するという性質を現しているそうです。
文協創立66周年を迎える本年は、昨年の COVID-19により、特に経済面における困難な状況からの出発を余儀なくされておりますが、この十二支にちなんで、誠実さをもって粘り強く努力していく所存でございます。
 また「辛丑」から本年を読み解けば「辛」は「草木が枯れ、新しくなろうとしている状態」を表し、「丑」は「種から芽が出ようとする状態」とのこと。
 これは、読んで字のごとく、辛(つら)さは伴うけれど確実に新しい世界への移行を意味するそうです。
 確かに昨年からCOVID-19によって齎された困難によって、人類は経験したことのない痛みを感じましたが、集塊自粛の代替案としてやむを得ず使用したインターネットの技術によって時間と空間を容易に超えて集う新たな方法を会得したのも事実です。
 特に昨年は文協創立65周年の節目の年であったため、多くの皆様をお招きし記念行事を盛大に行う企画をしておりましたが、突然の COVID-19の発生によって中止せざるを得ない状況となり、一時はどうなることかと唖然としておりました。
 しかし、若者を中心にオンラインイベントに挑み、文化祭りを皮切りに、30にも及ぶオンラインイベントを実施、全国的に拡大していったことは思いもよらぬ事でありました。その中でも「国際日系デー」や「第1回日本移民資料館国際シンポジウム」などは、ブラジルはもとより日本や北、南米の日系人らを招いて今までにない世界規模での開催をなすことができました。
 本年は、こういった技術を活用し、更に新たなる連帯の形が構築されることに確信と希望を持っております。
 最後になりましたが、COVID-19は必ず終息することを信じ、ニッケイ新聞読者の皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈りしつつ、新年のご挨拶とさせて頂きます。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

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