復興60周年 小田原城天守閣の歩み特別展 廃城、天守台崩壊から市民運動で石垣積み直し…

復興時の棟札も初公開されている復興60周年記念特別展=小田原城天守閣

 復興60周年を迎えた小田原城天守閣(小田原市城内)で記念特別展が開かれている。現存する貴重な資料などで明治期の廃城による解体から、1960年の復興、そして現在と、“小田原の顔”としてのこれまでの歩みが紹介されている。2月28日まで。

 天守閣は明治維新後の1870年に解体。天守閣が乗っていた天守台も1923年の関東大震災で崩壊した。戦後になって天守台の石垣を積み直す運動が市民の間で起こり、市が53年に石垣を再建。これにより天守閣再建の機運が高まり、折からの観光ブームもあって60年5月に天守閣が復興された。

 特別展では当時の写真や記録類など約500点の資料を展示。解体直前の天守閣や、天守台の写真のほか、市民が瓦を買うことで再建費捻出を支援した「天守閣復興瓦一枚寄付運動」の申し込み窓口を再現したセットも展示されている。

 熊本城(熊本市)と同年の復興で、設計者までも同じ“兄弟天守”だったことや、復興直後はテレビCMが行われていたことなど、あまり知られていないエピソードも紹介。今回初公開という復興時の棟札や、完成式典で配布されたパンフレットやチケットなども見ることができる。担当者は「市民の思いに市が応じて復興がなった、その経緯を知ってもらいたい」と話している。

 午前9時~午後5時。入館料は一般510円、小中学生200円。1960年生まれの人は特別展期間中は無料。問い合わせは、天守閣電話0465(23)1373。(望月 寛之)

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