今年こそ貯めたいけれど何をすればわからない…という人へ、お金のプロが考える「貯蓄の基本」と「増やし方」

みなさん、明けましておめでとうございます!ファイナンシャルプランナーの高山一恵です。いよいよ2021年の幕開けですね。昨年は新型コロナウイルスの影響があり、私たちの生活に多大な影響を及ぼしました。未だにいつ収束するかわからない状況ですが、先行き不透明な時代だからこそ、お金について真剣に考えていきたいですね。今回は、2021年にお金を貯めるためにやるべきことについてお話します。


年初にマネープランを立てよう!

昨年は、世界中で新型コロナウイルスが蔓延し、経済的にも精神的にも苦境に立たされた方も少なくなかったのではないでしょうか。コロナの収束の目処が立たない中、2021年も先行き不透明な年となりそうですが、先行き不透明な時代だからこそ大切なのが「ライフプラン」を立てることです。

例えば、「習い事を始める」「年に1回は温泉旅行に行く」というような小さな夢から「飲食店をオープンする」「海外に移住する」という大きな夢まで描いて見ることで自分の人生の見取り図ができ、もやもやしていた将来の不安や夢、希望が見えてきます。不安が見える化されることで、対策を練ることができますし、夢や希望が見える化される事により将来に対して前向きな気持ちになれます。

夢や希望については、書き込んだら次に重要なのが、その夢や希望を叶えるために一体いくら必要なのか、具体的に金額を書き込むことです。

これにより、「いつまでに」「いくら必要なのか」を把握することができます。期限と金額がある程度見えてきたら、今からどれくらいの金額を貯めればよいのかがわかりますので、貯蓄のモチベーションも上がり、実現の可能性がぐっと高まります。

一方、不安にも備えておく必要があります。危機が襲ってきたときに、貯蓄があれば、心にも生活にもゆとりが生まれます。反対に貯蓄が全くなければ、不安が募るばかりです。

貯蓄があれば、緊急予備資金として、いざという時に生活費の補填をすることができます。緊急予備資金の目安として、独身の方の場合で生活費の3ヶ月分から6ヶ月分、ファミリーの方は、6ヶ月分から1年分程度を目安に準備したいもの。夢や希望を叶えるための貯金とは別に、この金額が貯蓄できているとベストです。

貯蓄の基本は先取り貯蓄!節約するなら固定費優先で

貯蓄の基本は、「先取り貯蓄」です。先取り貯蓄とは、支出したあとに余ったお金を貯蓄に回すのではなく、お給料が入ったら、先に貯蓄分を取り分けてしまうという方法です。先に貯蓄を取り分けて、あとは残ったお金の範囲で生活すれば確実にお金は貯まりますし、支出が膨張したとしても、貯蓄分は先に取り分けてあるので安心です。

とはいえ、毎月お給料日にお金を引き出し、別口座に入れて……と手作業でしていたら続けるのが面倒になりますよね。そこで、活用したいのが、財形貯蓄、積立定期預金などの自動的に積立できる制度。毎月給料日に指定した額を給与や口座から自動的に引いて積立をしてくれるので面倒な作業が不要です。また、財形貯蓄や積立定期預金は簡単に引き出せないので、お金が貯まりやすいでしょう。

また、貯蓄をするお金を捻出する際、家計の中で優先してメスを入れたいのが「固定費」です。固定費とは、収入の増減に関係なく、毎月あるいは毎年、一定額かかってくる費用のこと。家計でいえば、月々の家賃や住宅ローン、水道光熱費、スマホやインターネット代、生命保険料、スポーツジム代、サブスク代などを指します。

固定費は1度見直してしまえば、その後は何もしなくても節約効果が得られ、何よりうれしいのがまとまった金額を減らせる可能性が高いこと。「固定費」の見直しができないかぜひ確認をしてみましょう。

特に家で過ごす時間が増えることによって「水道光熱費」「通信費」などは増えがちになっていると思うので、優先してメスを入れましょう。

お金を増やす基本は「長期・積立・分散投資」で

いざという時のために貯蓄も大切ですが、長生き時代に備えるためには、お金を貯めると同時にお金を増やす努力もしていく必要があります。

お金を増やすための基本は、「長期・分散・積立」ですが、それは市場が危機に直面する時でも変わりません。iDeCo・つみたてNISAは、一般の人でも「長期・分散・積立」投資が手軽にできる制度設計になっています。

iDeCoは、税制優遇を受けながら自分年金作りができる制度で、「掛金の拠出時」「運用中」「受け取り時」の3つの場面で税制優遇があります。

iDeCoの掛け金は、全額を所得控除できます。掛金全額が所得控除にカウントできることにより、所得税を計算する元となる課税所得が減るので、所得税を減らすことができます。ちなみに、翌年支払う住民税も減らすことができます。

また、iDeCoでは定期預金や投資信託などを積み立てていきますが、積立期間中は運用益は非課税になります。利益に対して非課税ということは、それだけ多くのお金を運用に回すことができるので、利息が利息を生む複利効果も期待できます。

さらに、iDeCoは原則60歳から受け取りますが、受け取り時にも「退職所得控除」や「公的年金等控除」といった退職金や公的年金を受け取る時と同様の税制優遇が適用になり、お得に年金を受け取ることができます。

iDeCoは、税制優遇のメリットを享受しながら自分年金を準備できる優れた制度なのですが、不便な点もあります。それは、iDeCoで積み立てたお金は基本的に60歳まで引き出すことができないところや会社員や公務員は、掛金の拠出額に月1万2,000円から2万3,000円という制限があるところ、また、家計の状況が変化して、積立をストップしたり、掛け金を変更したりする時に手続が面倒だったり、手数料がかかったりするところです。

そこで、iDeCoと併用して活用したいのが、「つみたてNISA」です。

つみたてNISAは、2018年から2037年(2042年まで延長予定)までの20年間投資をすることができ、非課税投資上限額40万円から得られた投資の利益が20年間非課税になります。つまり、最大の非課税金額は800万円となります。一般NISAと違い、一括投資は認められておらず、積立投資のみ認められています。投資できる金融商品は、個人が中長期的に安定的に資産形成できると国が判断した投資信託、ETFになっています。もちろん、基準を満たした金融商品がすべて値上がりするとは限りません。しかし、明らかに初心者に不向きなものや積み立て投資に適さないものは除かれるので、投資先を選びやすくなります。

また、iDeCoとは違い、つみたてNISAは、いつでも自由に売買できます。加えて、家計の状況に応じて、簡単に積立をストップしたり、掛け金を変更したりすることもできます。

家計に余力があるという方は、株の積立も検討してみてみましょう。

株式投資もコツコツ積み立てることが可能です。例えば、野村証券や大和証券などの「るいとう(株式累積投資)」、auカブコム証券の「プレミアム積立(プチ株)」、One Tap BUYの「積み株(米国株)」などがあります。

るいとうは月1万円以上1000円単位を購入していく仕組み、プチ株は月500円以上1円単位を購入していく仕組み、積み株は月1000円から1000円単位を購入していく仕組みです。

最初は日本株からトライして、慣れてきたら米国株を積み立てるのも良いでしょう。米国株に投資というと、ハードルが一気に高くなると思いますが、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftなどのいわゆる世界を牽引する米国の巨大テクノロジー企業のような超有望銘柄を少額でコツコツ積み立て購入できるので、初心者の方でもトライしやすいでしょう。

コロナの影響もあり、2021年も先行き不透明ではありますが、攻めと守り両方のバランスを取りながら乗り切っていきましょう。

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