【箱根駅伝】選手や保護者は応援自粛したのに観客が密応援…主催者「隙間あった」

復路ゴールの大手町では関係者が感染防止対策を訴えた

中途半端なままだった…。今年の箱根駅伝では例年にない「観客」の問題が生じて、注目を集めた。

主催の関東学生陸上競技連盟(関東学連)は新型コロナウイルス感染症予防の観点から昨年9月に主催大会をすべて無観客で実施すると発表し、箱根駅伝も無観客開催との見方が強まった。しかし「一般の方に向けてはあくまでお願いベースなので」と昨年12月上旬には、関東学連のホームページ上から無観客の文字が削除されていた。

そんな中で行われた今年の箱根駅伝は、選手や保護者が沿道での観戦を自粛した。大会前、東洋大の西山和弥(4年)は「今大会は応援自粛ということで、自分の家族に関しても応援に来ないようにする、テレビの前で応援をするっていう連絡があった」と残念そうに語っていた。さらに、3日の復路は2日の往路を走ったメンバーも、ゴールの大手町ではなく寮でレースを観戦。駒沢大は総合優勝の瞬間を寮内で迎えた。

ところが「応援も自粛という形をとっていても、多少は沿道に観客が出るのでは」と駒沢大の大八木弘明監督(62)が指摘していた通り、各区間で観客が沿道に列をつくる始末。関東学連も警備スタッフなどを増強して対策に努めたが…大手町付近では密になって応援する観客の姿が数多く見られた。

関東学連によると、今大会の入場者数は約18万人で、121万人が訪れた前回大会に比べて約85%減少しているという。日隈広至副会長は「私は30数年ずっと沿道を見てきたが、非常に少なく感じた。テレビを見ていると(観客が)重なって見えるので空間がないように見えるが、横から見ると隙間があった。いつも混雑する横浜駅の周辺や日本橋周辺とかは、びっくりするほど(観客が)いなかった」と成果を強調した。

ただ、世間の目は冷ややかだ。ある選手はレース後に「意外と観客がいた」と苦笑い。現地観戦を断念したファンからもネット上では「沿道にめちゃ人いるし、シンプルに何が起きたの?」「思ったより人がいるよね」などと厳しい声が飛び交っている。

コロナ第3波が猛威を振るう中、対策としてさまざまな場面で「自粛」が促されているものの、効果はいまひとつだったようだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社