〝侍ストライカー〟岡崎慎司の存在感を際立たせた名将の絶叫

岡崎慎司

3日のバルセロナ戦も0―1で敗れ、スペイン1部リーグで最下位の20位に沈むウエスカは、ミチェル監督(45)の解任が現実的となってきた。監督交代となれば助っ人として奮闘するFW岡崎慎司(34)の処遇にも影響が出そうだが、意外な人物のある行動がそんなムードにストップをかけている。

クローズアップされているのがバルサ戦の後半のワンシーン。1点ビハインドで後半27分に投入された岡崎はいつも通り、攻守にアグレッシブに動き回り得点チャンスをうかがった。しかし、バルサが圧倒的にボールを支配し、岡崎にはパスすら入らない展開。にもかかわらず、それまでベンチで静かだったバルサのロナルド・クーマン監督(57)は突然、大声を張り上げた。

「12番だ、12番。彼(岡崎)をマークするんだ!」

すると、直後の後半40分、岡崎が低空のヘディングシュートを放ち、バルサゴールを脅かした。GKテアステーゲンが難なくキャッチして事なきを得たが、この名将の〝予知能力〟が逆に岡崎の存在感を際立たせた。

ある日本代表OBは「あれこそが岡崎がスペインでも危険な選手だということが認知されている証拠。バルサがそう見ているくらいだから、欧州の指導者の共通認識なのかもしれない。そうなるとウエスカの監督が誰に変わったとしても、岡崎は起用されるはず」と分析。イングランド時代、「レスターの奇跡」と呼ばれプレミアリーグ初優勝の立役者となったことは今でも欧州の指導者の脳裏に焼き付いているという。

クーマン監督はアヤックス(オランダ)監督時代、フェイエノールトにいたMF小野伸二(41=札幌)と対戦し、サウサンプトン(イングランド)ではDF吉田麻也(32=サンプドリア)を指導したこともあり、日本人選手の長所、怖さを熟知している。岡崎へのマーク指示も単なる予感ではなく根拠があったのかもしれないが、いずれにしても〝侍ストライカー〟の需要はまだしばらくは落ちそうにない。

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