疎外感のある職場 ~個人と職場にできること~

今年はコロナ禍で働き方がガラッと変わった人が多いのではないでしょうか。
この状況は、まだまだ続いていく可能性が高いです。

働く上でのコミュニケーションについては、これまでも産業保健新聞でたくさんお話をしてきましたが、今回は「職場で感じる疎外感」について考えていきたいと思います。

疎外感とは

疎外感とは、自分だけ仲間外れにされているように感じることをいいます。

職場で疎外感を感じて、悲しくなったり、イライラしたりすることはありませんか?
「あれ?いじめられてる?」なんて捉えてしまうこともあるかもしれません。
そんな内容の相談を受ける方もいるのではないでしょうか。

パワハラの類型にも、
・ 特定の労働者を仕事から外し、長時間別室に隔離する
・ 一人の労働者に対し、集団で無視をし、職場で孤立させる
といった「人間関係からの切り離し」というものがあります。

職場で起きやすいコミュニケーションの問題

さて、ここで疎外感を受けやすい職場の特徴2つについて考えてみましょう。

1.限定的なコミュニケーション

発言量の偏りや、一部のみで活発なコミュニケーションが発生している状態のことです。

「●●さんばかり話している」
「●●さんと●●さんだけがよく話している」
といったシチュエーションは、疎外感を感じやすく、空間から切り離されているような気分になります。

一見、わいわいといつも楽しそうな雰囲気の職場に見えることもあり、管理職としては気付きにくい問題です。

2.不明瞭な情報伝達コミュニケーション

「●●さんは知っていて、自分は知らない」
「自分は知らされていない」
といったように、疎外感を感じる本人は、自分だけに情報が届いていないと感じます。

しかし管理職からすれば、必要な情報を必要な範囲に共有しているだけかもしれません。
それが当たり前なら、共有範囲を周知することもあまりありませんよね。

気を付けたい問題

物事をどう感じ、どう受け取るかは人によって違うため、意図しないコミュニケーションエラーが起きてしまいます。
そのため、多くのことが意図的でなくても、人によっては故意に行われていると感じることがあります。

「わざと情報を回してこない」
「発言権を奪われている」
と感じ、ハラスメントだ!と受け取る人もいるかもしれません。

自分から会話に参加しにいけないという苦手意識については克服も必要ですが、ぜひ管理職の方は発言量に偏りがないか一度チェックしてみてください。
そしてそれが見受けられた時には、話を振ってみるなどの配慮ができればよいでしょう。

また、情報の中身や取り扱う人間(役割)についてクリアにすることが大事です。
「ああ、それなら自分が知るはずもない」という納得感を持てる機会を提供していきましょう。

周囲で起きる出来事をどう受け止めるかは認知が関わってきます。
「きっとこうなんだ」とネガティブに考えやすい人は思い込みに支配されていないか確認してみましょう。
また、話すのが苦手、気持ちを伝えられない人はアサーショントレーニングも有効です。
ぜひ参考にしてみてください。

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