【MLB】166億円内野手に「騙された」 不良債権化した“最悪な契約”は?

オリオールズのクリス・デービス【写真:Getty Images】

現役ワースト12の契約を米メディアが査定

大リーグでは新型コロナウイルスによる各球団の減収で今オフのFA市場が冷え込んでいるが、エンゼルスに所属するマイク・トラウト外野手の史上最高額となる12年総額4億3200万ドル(約447億円)の契約延長を筆頭に毎オフ超大型契約が話題となる。しかし必ずしも巨額投資の成果が生まれるわけではない。

ニューヨークのラジオ局「WFAN」は「MLBに存在する12の最悪な契約」との記事を掲載。ヤンキースのジャンカルロ・スタントン外野手(13年3億2500万ドル)、レッズのジョーイ・ボット内野手(10年2億2500万ドル)ら、怪我やパフォーマンスの低下で金額に見合っていないと判断された大物選手たちが名を連ね、中でもワースト3に選ばれた選手への評価は辛辣そのものとなっている。

3位はエンゼルスのアルバート・プホルス内野手だ。2011年12月にエンゼルスと10年2億4000万ドル(約248億円)の契約を結んだ通算662本塁打の大砲は、入団後9年間で打率.257、出塁率.312、長打率.448、217本塁打、771打点を記録。2001年から11年間プレーしたカージナルス時代の打率.328、出塁率.420、長打率.617、445本塁打、1329打点というモンスター級の活躍に比べると著しく成績が低下し「ピーク時の活躍を1シーズンでも(エンゼルス在籍中に)見ることは出来ず、多くの年で平均以下のパフォーマンスをした彼をチームは抱えるしかなかった」と指摘した。

続けて「トラウトの最盛期が現在に至るまで無駄にされたことの要因が彼の契約にもあることを考慮すると、プホルスの契約が球界の歴史で“最悪”として語り継がれる可能性は大いにある」とも言及。エ軍は球界最高の選手の呼び声が高いトラウトを擁しながらも、直近10年間でプレーオフ進出はわずか1度(地区シリーズ3連敗で敗退)とチーム低迷の一因がプホルスにもあるとした。

本塁打数に“目がくらみ”デービスと7年1億6100万ドルで契約したオリオールズ

2位に選ばれたのは過去に3冠王にも輝いたタイガースのミゲル・カブレラ内野手だ。2008年3月に8年1億5230万ドル(約158億円)の契約を結んでいたカブレラは、2014年3月に8年2億4800万ドル(約256億円)で契約を延長。「脂の乗りきった時代は、歴史上最高レベルの右打者だった」と当時打者として数々のタイトルを獲得したカブレラの打棒を称えた一方で、タイガースがカブレラと延長契約したタイミングに言及。こう指摘している。「恐らく良い年月の重ね方はしない。そう考えるのは難しくはなかっただろう」。

カブレラは延長契約1年目の2016年に打率.316、38本塁打、108打点と実力を遺憾なく発揮するも、それ以降は打率3割、20本塁打に達したシーズンは1度もない。2018年には上腕二頭筋の腱断裂でわずか18試合出場に留まっている。つまり最初の8年契約が満期を迎える前に、カブレラと契約延長したことは賢明な判断ではないというのだ。そして、カブレラが40歳になるシーズンまで続く契約を「厄介な状況」と断じ、タイガースにとって重荷となると指摘した。

そして不名誉な1位に選ばれたのはオリオールズのクリス・デービス内野手だ。昨季わずか16試合出場に留まったデービスは、2016年1月に球団と7年1億6100万ドル(約166億円)で再契約を結び、その経緯が2015年に47本塁打で自身2度目の本塁打王に輝いたことへの「褒美」だと言及。その一方で2014年は打率.196、2015年から2年連続で200三振以上を喫し、本塁打数を過大評価したオリオールズは「騙された」と一刀両断した。

通算打率.233から見てもわかるようにデービスは典型的なパワーヒッターだ。しかし2012年から2015年までの4年間で159本塁打とするも、ここ5年間は92本と激減。打率も3年連続1割台、と、打撃自体の衰えは否定できない。記事では過去に大型契約を結んだ選手が怪我によって成績を落とした事例を紹介しつつ「デービスは単純にパフォーマンスが落ちている。生産性が急落した具体的な原因はない」として不良債権化したデービスの現状を嘆いた。

選手の不良債権化は球団の補強策に大きな影響を及ぼす。ワールドシリーズ制覇を狙う上で、スター選手への投資が成功するか否かも重要なポイントと言えるだろう。(Full-Count編集部)

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