壱岐に対馬の医師派遣 県、宿泊施設追加確保

 長崎県壱岐市では昨年暮れから感染者が急増し、医療体制が逼迫(ひっぱく)している。島内医療の中核を担う県壱岐病院を運営する県病院企業団は急きょ、対馬から医師を派遣。県も無症状・軽症者用の宿泊療養施設を追加で確保するなど対応に追われている。
 県や企業団によると、同市では12月28日から1週間で市職員11人と壱岐病院職員1人を含む計30人の感染を確認。3日時点で市内の確保病床20床に13人が入院している。壱岐病院は応援医師の派遣を要請。離島の病院には通常、県本土の病院から派遣するが、県本土も感染拡大で余裕がなく、対馬の県上対馬病院の医師1人が応援に入った。
 壱岐病院は職員の感染を受け、8日まで一般外来と健康診断を休止。勝本町の男性会社員(66)は「12日に通院予定だが、どうなるか分からない。コロナの患者が優先なのだろうが…」と不安そう。芦辺町の男性教員(40)は「4日に2歳の娘が受診予定だったが行けなかった。協力するしかない。病院関係者には頑張ってほしい」と話した。
 一方、市こども家庭課と市民福祉課の職員計22人が12月24日に市内の飲食店で会食し、6人が感染。クラスターとなった。他の職員5人も陽性が確認された。市は4日から別部署の職員計12人を両課と兼務させ緊急対応。窓口業務などは通常通りという。
 さらに同市は4日夕、新たに9人の感染を独自に公表。収束は見えない。今後も感染拡大が続き島内の病床が埋まった場合、同様に病床が逼迫する県本土に患者を搬送できるのか。4日の記者会見で質問を受けた県の中田勝己福祉保健部長は「同じ危機感を共有している。島民には行動を抑制してもらわないといけない。重症者が出るなどしたときは本土の感染状況を見ながら、柔軟に対応したい」と述べた。

 


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