新人王逃した楽天・小深田 西武・平良との明暗分けた〝運命の1打席〟

惜しくも新人王を逃した小深田

パ・リーグの新人王を僅差で逃した楽天・小深田大翔内野手(25)に「あの打席さえ何とかしていたら新人王だったのでは…」という声がチーム内外から上がっている。

周囲が〝あの打席〟と指摘するのは11月7日に本拠地で行われた今シーズン最終戦の西武戦でのこと。同点で迎えた8回二死一、三塁の好機で小深田に打席が回ってきたのだが、新人王争いの最大のライバルで、結果的に新人王に輝いた西武の平良海馬投手(21)の前に空振り三振。この直接対決の結果こそが今回の新人王争いの明暗を分けたというのだ。

楽天の球団関係者が肩を落としながらこう話す。

「この2人の直接対決前までは小深田と平良のタイトル獲得の可能性はほぼ五分だったはず。実際に新人王投票の権利を持つ記者らに話を聞いても『まだどちらに投票するか決めていない』と話す人がほとんどでしたから。でも、直接対決で小深田が三振を喫してしまったことで明らかに流れが平良の方に向いてしまった。新人王はあの1打席で決まったと言っても過言じゃない。そのぐらい成績は拮抗していましたから」

確かに両者のシーズン成績は「拮抗」という言葉がふさわしい。

主に救援として活躍した平良は54試合の登板で防御率1・87を含む1勝1セーブ、33ホールドをマーク。一方の小深田もシーズン序盤からレギュラーとして112試合に出場。序盤こそプロの壁に苦しんだが最終的には打率2割8分8厘、3本塁打、31打点という好成績を残した。

ポジションが異なるため比較は困難だが、仮に新人王が投手と打者で分かれていれば間違いなく両者はともに受賞できたはず。そんな状況から1打席の直接対決の印象でタイトルを逸した感のある小深田に同情の声が上がるのも無理はない。

「野球に〝タラレバ〟は禁句でしょうが、もしあの試合で直接対決しなかったら新人王の行方はどうなっていたか…」とは前出関係者。

新人王は一度逃すと二度と獲得できない特別な賞だけに関係者の嘆き節は続く。

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