柔道の東京五輪男子66キロ級代表の阿部一二三(23=パーク24)が「勝負の年」にさらなる進化を誓った。
2020年度A・B強化選手講習会(5日)の終了後にオンライン取材に応じた。昨年12月の代表決定戦では丸山城志郎(27=ミキハウス)との24分に及ぶ大死闘を制し、五輪切符を奪取。激闘を経ての年末年始は「兵庫の実家でゆっくりできた。でも走るなどして体は常に動かしている」と語る。妹で女子52キロ級代表の阿部詩(20=日体大)とともにランニングをしたと言い「きょうだいで頑張っていこう。2人で金メダルを取ろう」と誓い合ったという。
東京五輪で頂点をつかむためのプランもある。「前に出る柔道、圧倒的に勝つという自分のいいところに、プラスで幅を広げたい」と話した上で「寝技があまり試合で出ないので、寝技で一本勝ちができたら幅が広がる。(展開次第で)寝技で展開していってもいい。相手も怖いと思う」と明かした。
豪快な投げ技が持ち味の一方、阿部にとって寝技は「苦手な部分」。北京五輪100キロ超級金メダルでMMAファイターの石井慧(34)は代表決定戦後の本紙解説で「阿部選手も丸山選手も寝技を全然やらないじゃないですか。2人とも技が切れるんで、あまり寝技の必要性を感じていないのかもしれません。だからこそ寝技で確実に仕留められるスキルがあれば、相手も不用意に技をかけられなくなる」と寝技の必要性を説いていた。柔道界の〝怪物〟もついに寝技の重要性に目覚めたようだ。
新型コロナウイルスの感染が再拡大している状況だが、阿部は「東京五輪は開催されると信じてやっている。何が何でも五輪で優勝するというのが一番の目標」ときっぱり。今夏の本番直前までレベルアップを図る構えだ。