鮮魚の無償配布も 小田原「GyoTo(ギョートゥー)」第2弾 緊急事態宣言の苦境を乗り越えられるか

新年の初競りが行われた小田原市公設水産地方卸売市場=同市早川

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、小田原市内の水産業界が苦境に立たされている。新春恒例の初市式が5日、同市公設水産地方卸売市場で行われたものの、卸値は例年と比べると軒並み1割以上減額。鮮魚店の売り上げは回復傾向にあったが、関係者は「緊急事態宣言が出ればさらにひどい状況になる」と危機感を募らせる。同市などは消費喚起策として「Gyo To 魚屋」キャンペーンの第2弾を同日スタートし、生き残りを懸ける。

 午前5時半から始まった水産市場の初競り。水揚げされたばかりのサバやアジのほか、ヒラメやカワハギ、ウスバハギなど旬の魚を囲み、卸売業者らの威勢のいい掛け声が響いた。

 例年は200人程度が参加する初市式も今年は感染予防のため規模を縮小。守屋輝彦市長はあいさつで「新型コロナで観光業や飲食店が打撃を受け、飲食店などを支えている市場の存在自体も厳しい環境にある」と訴えた。

 この日は約5トンが水揚げされたが、同市場買受人組合の古川孝昭組合長は「例年の初競りと比べて1~2割安い」と渋い表情を見せる。昨年の緊急事態宣言下では売り上げが10分の1になった店舗も。魚の販売量が減ったことで卸値も半額以下にまで落ち込んだ。

 それでも昨年の秋以降は売り上げも例年の8割程度まで回復した。その直後に首都圏での感染者数の再拡大。市漁業協同組合の高橋征人組合長は「緊急事態宣言が再び出されれば人ごとではない。魚の単価がさらに減る」と頭を抱える。

 希望は市と漁協、買受人組合などが昨年12月から始めた「GYO TO」キャンペーン。抽選で300組に地場産の魚介類(1万円相当)をプレゼントする企画で、想定の2倍となる約6千組の応募が殺到するなど反応も上々だ。

 キャンペーン第2弾は、鮮魚店で地魚をプレゼントしたり、地元有名店に招待したりするなど大盤振る舞い。水産庁の新型コロナ対策の一環で、魚を買い取る形で漁業者の収入安定につなげる狙いだ。鮮魚店にとっては逆に売り上げが減る可能性もあるが、消費者の“魚離れ”への危機感も強い。古川組合長は「小田原の魚を知ってもらわなければ、次にもつながらない」とキャンペーンの成功を願っている。

 キャンペーンは12日、市内外15店舗で鮮魚を来客に無償配布。また、2月7日まで写真共有アプリ「インスタグラム」でハッシュタグ「#小田原Gyo飯」を付け、自炊した魚料理の写真を投稿した5組20人を市内の有名店に招待する。

 詳細は公式ホームページ(https://odawara-fish-buyer.jimdosite.com/)で。

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