飯伏2冠で新日本の〝70億円倍返し〟前進! 木谷オーナーが狙う「ドームツアー復活」と「五輪アスリート」

ジェイを破り2冠ベルトを守った飯伏。団体とともに快進撃が始まるか

ゴールデン☆スターが2021年の「顔」になった。新日本プロレスの年間最大興行「レッスルキングダム15」2日目(5日、東京ドーム)でIWGPヘビー級&インターコンチネンタル(IC)2冠王者の飯伏幸太(38)がジェイ・ホワイト(28)を退けて初防衛に成功。ドーム2連戦で計79分23秒を戦い抜き、ベルト統一を提唱した上で「プロレスを広める」使命を改めて自身に課した。それを後押しするかのように、団体の50周年イヤーに向けた〝70億円プラン〟が進行中だ。

前夜の4日大会で内藤哲也(38)からベルトを奪取した飯伏は、激闘のダメージもありジェイに大苦戦を強いられた。何度も窮地に陥りながらも、次々と繰り出されるブレイドランナー(変型顔面砕き)だけは許さない。ラリアートから後頭部へのカミゴェを決めて逆転するや、最後は渾身のカミゴェ一閃。48分5秒におよんだ死闘に終止符を打った。

試合後のリング上ではSANADA(32)からの挑戦表明を受諾し、V2戦での激突が決定的に。ドーム2連戦のメインで連勝を飾った2冠王者は「逃げない、負けない諦めない。そして絶対裏切らない。そして本当の神に、なったー!」と絶叫した。

三つどもえで繰り広げられた2冠争いを制し、今後のビジョンとしては〝ベルト統一〟を提唱する。「ICのベルトと、IWGPヘビーのベルト。これを一つにしたい。僕は最高も最強も欲しいし。誰もICだけに挑戦したり、IWGPヘビーだけに挑戦していない。じゃあ何の存在意義があるんですか、2冠に」と問題提起した。

さらに「発言力が増したと思うので、もっともっといろんな場所でプロレスをやっていきたいと思います。広めるのが僕の仕事。プロレスをどんどん広めていきます」と目を輝かせた。

使命感に燃える飯伏に追い風となるプランがある。

今年のドーム2連戦は入場者制限により観客動員が減少。新型コロナウイルス禍により、2018年度に過去最高の約54億円を記録した新日本の売上高は20年7月期で約45億円になった。

大会後に本紙の取材に応じた木谷高明オーナー(60)は、来期は約35億円まで減少することも想定していることを明かした。その一方で「コロナ明け」を見越し、22年7月期の「売上倍増計画」を立てているという。

「(動画配信サイトの新日本プロレス)ワールドは過去最高の入会者数ですし、米国の現地法人もコロナ明けとともに本格始動します。大きくできるなと思うのは、このコロナ禍でいろいろなことを試しましたよね。2グループに分けてG1をやるとか。選手に負担をかけない形で興行の規模を大きくすることができると思ってますし、今まで以上に立体的な活動ができるはずです」

新日本を題材にしたスマホアプリの配信も決定するなど、好材料は揃っている。特に団体創立50周年の節目を迎える来年は、新日本にとっても勝負の年だ。本紙既報の東京ドーム大会中継の地上波ゴールデンタイム復活プランは継続中で、同オーナーはビッグマッチの拡大も見据える。

「もうちょっとドームをやりたいという気持ちはあります。G1の決勝とかも本当はドームでやりたいです。22年にドームツアー復活? そういうことをやるしかないですよね」と意欲を示した。

興行面以外では人材発掘が最大の課題。「大物新人もスカウトしたいですね。プロレスも日が当たってきたから、興味を示す人もいると思う。レスリングにこだわらなくてもいいと思うんですよね。身体能力が高ければ。体操とか水泳とかいいなと思いますよ」と、東京五輪アスリートなどにも注視していく意向だ。

そんな状況だけに、逆境のドーム大会で2日連続メインイベンターを務め成功に導いた飯伏の功績は大きい。

「プロレスを世界一の競技にする」

大きな夢を抱くゴールデン☆スターにとって、21年の年間最大興行は間違いなくその第一歩だった。

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