菅首相に緊急事態宣言出させた? 小池都知事の戦略なき〝ドヤ顔〟アピール

今年も〝フリップ芸〟が冴えわたりそうだ

緊急事態宣言後は時短要請に応じなかった場合、新型コロナ特別措置法に基づく公表の規定があるとして「厳しいお願いだが、こうした規定も活用し、なんとしても抑制して実を取っていきたい」と、政府を動かしたことでいつものドヤ顔を見せ意気揚々だ。

都は要請に応じた飲食店への協力金について、従来の事業者単位から実店舗ごとの支払いに拡充し、額も1日当たり4万円から5万円に引き上げる方針という。だが、飲食店側は納得していないのが現状。

昨年は、大阪の吉村洋文府知事が通天閣を照らす「大阪モデル」を発表するや、対抗心を燃やす小池氏がレインボーブリッジを照らす「東京アラート」で追随。今となっては、コロナ禍の首長のドタバタを象徴する出来事となっているが、今回の仕掛けも〝小池劇場〟の21年シリーズの幕開けともいえる。

大阪では昨年11月に感染者が増え、医療体制がひっ迫するピンチに陥ったが、早めの時短営業要請が奏功したのか、危機を脱した。

吉村氏は4日「(緊急事態宣言は)社会経済活動を止めることになれば命にかかわってくる問題。大阪は感染の急拡大は抑えている状態」と首都圏での騒動に、こちらもどこかドヤ顔だったのは否めない。

政府や地方自治体のトップによる手柄争い、責任のなすり合いが繰り広げられている状況に、防災アナリストの金子氏はこう厳しい目を向ける。

「テレビ番組に出演した神奈川県の黒岩知事が辛坊治郎キャスターからベッドの数を問いただされ、答えられずにいたのが話題になっていたが、くだらない争いをしている場合じゃない。どの知事も口だけで、戦術と戦略がない。戦術は政策、戦略は実務に置き換えられるが、全くなされていないことが問題」

ひっ迫する医療態勢で各自治体が策に窮する状況を踏まえ、金子氏は「国内には自衛官、消防官、警察官が約64万人いる。その1割の制服組を医療機関へ支援することで、医療従事者を医療行為のみに専念させられる。PCR検査も制服組の支援があれば、国民的レベルで検査できる態勢が取れる」と提言する。

今月開会の国会で特措法改正も視野に入るが、日本は諸外国のように強制力を伴う措置が取れず、政府と地方との連携はバラバラのままで、事態は変わりそうにない。

「『マスクしてください』『3密に気を付けてください』ばかり。政府、国会、47都道府県知事が徹底した危機管理意識を持ち、コロナ対策の最前線にいる意識を持たない限り、終息への道はほど遠い」(金子氏)

6月には都議選、秋までには衆院選が控え、各陣営が政治的思惑を抱える以上、昨年同様のドタバタ劇が繰り広げられることになりそうだ。

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