桐蔭ラグビー3大会連続決勝へ 驚くプレーの裏側は

独自のトレーニング法で桐蔭学園ラグビー部員を指導してきた手塚さん=昨年12月、横浜市都筑区

 5日の全国高校ラグビー大会準決勝で、神奈川代表の桐蔭学園は大阪朝鮮高を下して3大会連続8度目の決勝進出を決めた。「パフォーマンスコーディネーター」の肩書で昨春から基礎トレーニングを担当してきた手塚一志さん(58)=東京都在住=は「数字に表れにくい練習だったが、一生懸命取り組んでくれた選手に感謝したい」と勝利を喜んだ。

 「桐蔭ラグビー部を劇団で表すなら、監督がプロデューサーで私は振付師」

 笑顔で自身をそう例える手塚さんは旧知の藤原秀之監督(52)に頼まれ、スムーズな重心移動を意識した無駄のない走り方を指導してきた。コロナ禍の活動休止中に行ったオンラインレッスンのメニューは、練習や試合前のウオーミングアップにも活用されている。

 四つんばいで前に進んだり、腰に巻いたチューブを引っ張ってダッシュしたりとメニューは多彩。これまでにプロ野球の田中広輔(広島)をはじめ1万人以上を指導し、競技の枠を超えて成果を上げてきた。

 徳島県出身。高校野球の古豪・池田高の三塁手として活躍し、大学院で学んだ後にプロ球団でコンディショニングコーチを務めた。ただ、当時の筋力トレーニングだけに頼った強化に違和感を持ち、独自の指導法に行き着いたという。

 大会2連覇に王手をかけた桐蔭フィフティーンも、その効果を実感している。187センチ、110キロのロック青木恵斗(3年)は今大会6トライを挙げ、「昨年よりも速くトップスピードに乗れている」。

 この日が誕生日だった手塚さんは仕事の都合で現地に駆け付けることはできなかったが、スマートフォンの映像で試合をチェック。「勝利は最高のプレゼント。今の桐蔭の選手の動きは誰もまねできない。決勝でも相手が驚くようなプレーをしてほしい」と、偉業達成へ突き進む選手の背中を押している。

© 株式会社神奈川新聞社