長年難所だった区界峠です【木造駅舎巡礼08】山田線03

※2020年9月撮影

トップ画像は、JR東日本山田線区界駅。撮影日は、2020年9月7日。既に駅舎解体を含めた工事関係者の車両が駐まっていました。

上米内駅から県道204号線で山田線に沿う様に進んで、廃止された大志田駅跡、浅岸駅跡を覗いて行きたいと考えたのですが、上米内駅のウルシカフェの方に訊いたら「100%止めた方が良い 204号から浅岸駅方面に分岐する林道は未舗装でほとんど車も通らないので通行できるか分からないし熊が出て危険」とのこと。諦めて県道36号線で盛岡方面に戻ります。

上米内駅は米内川沿いにあります。県道36号線の米内トンネルの反対側は米内川でした。ヤマメやイワナの棲む渓流。休日には多くの釣り人で賑わうそうです。

※2020年9月撮影

県道36号線は綱取ダムの横を通ります。

※2020年9月撮影

山道が続くので、ここで一服。

※2020年9月撮影

その後、国道106号線に出て簗川に沿って進むとかなり距離がありますが区界駅です。山田線の上米内駅~区界駅の駅間がJR東日本在来線最長の25.7kmですが、レンタカーではその3倍くらい走りました。しかもけっこうな山道です。

※2020年9月撮影

駅入口に「区界駅開業50周年記念」の石碑がありました。区界小唄「わらび折るてを なぜとめさせて やぶのうぐいす 誰をよぶ 行こかあの娘と すヾらんかりに かぶとお山の ふもとまで」と刻まれています。「かぶとお山」は、駅の東3kmにある兜明神獄(1,005m)。この地が鉄道敷設前は宮古と盛岡を行き交う人々の難所だった区界峠です。

区界駅は1928年(昭和3年)開業。石碑は、1978年(昭和53年)に建立されたことになります。背後は国道106号線、区界駅という駅名が示すように盛岡市と宮古市の境界に駅があります。

※2020年9月撮影

解体寸前の区界駅舎。

※2020年9月撮影

駅出入口。左の後ろ姿が駅舎解体の準備に来た作業員さん。この方に「解体はいつからですか?」と尋ねたら「すぐに始まりますよ」という返事でした。撮影はギリギリで間に合ったのです。

※2020年9月撮影

駅舎の南東側。

※2020年9月撮影

駅舎内。冬期は寒いので扉が二重です。奥がホーム。飲料の自動販売機などはありません。それもそのはず、JR東日本さんのニュースでも区界駅の1日平均乗車人員は1人なのです。元来が鉄道運行上、列車交換などの為に重要視された駅でした。駅周辺の人口は多くないのです。2010年(平成22年)の国勢調査データでも、区界駅を中心にした半径500mには、17世帯39人が住んでいるだけです。

※2020年9月撮影

待合室。外に解体作業員さんがいます。

※2020年9月撮影

時刻表と近距離きっぷ運賃表。快速が停車しないので1日の列車は上り3本、下りは18時以降の2本だけです。

※2020年9月撮影

筆者は、山田線盛岡駅~宮古駅間は2回しか乗ったことがありません。ゆっくり駅を見るのは初めてです。次回も区界駅を眺めます。

(写真・文章/住田至朗)

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