しなの鉄道、SDGs配慮の車両更新ファンド組成へ 個人投資家向けに115系部品取り体験などのプランも

画像:しなの鉄道

しなの鉄道株式会社とミュージックセキュリティーズ株式会社は2021年1月6日(水)、しなの鉄道の新型車両導入に必要な資金の一部を、インパクト投資を活用したブレンド・ファイナンスにて募集することで合意に至ったと発表しました。

※インパクト投資……リターンだけでなく、社会や環境にインパクトを生み出す組織やファンドへ投資すること。

※ブレンド・ファイナンス……個人と法人、官と民など、期待リターンが異なる投資家に対して異なる条件を提示することで、事業者側に有利な資金募集を可能とする方法。

ファンドの募集総額は5,000万円で、個人から3,000万円、機関投資家などの法人から2,000万円を集めることを目指し、個人法人いずれもCO2削減などの社会的リターンと金銭的リターンを設計しています。

個人向けは一口50,000円で、決済金額のうち半分が投資、半分が体験や沿線の特産品の購入などに充てられます。購入分は個人投資家が投資後に選択できるようになっており、観光列車の食事付き乗車券と沿線の日本酒・ワインや特産品の提供、沿線温泉地の宿泊券がセットになったプラン、旧型車両115系部品取り体験とオリジナルグッズがセットになったプラン等も用意しているとのこと。(応募多数の場合は抽選)

個人投資家の参加は、しなの鉄道の新たなファン獲得や沿線地域の魅力発信といった「関係人口」の増加にもつながることから、地域活性化への貢献が期待されています。

募集期間は2021年1月14日から2021年6月30日まで。会計期間は2021年7月1日~2031年6月30日までの10年間、事業計画達成時の償還率は個人 107.2%、法人 108 .8%(いずれも源泉徴収前)。第三セクター鉄道会社の新型車両としての設備投資へのファンド活用は、ミュージックセキュリティーズ社によれば日本で初めてとのことです。

省エネ性能に優れCO2も削減できるSR1系

しなの鉄道の新型「SR1系」は、2020年にデュアルシートを備えた「ライナー車両」がデビューしました。バリアフリートイレを新設した「一般車両」は今後順次導入し、現行の115系を置き換える予定です。

消費電力を2両編成1kmあたりで比較すると、115系が5.03kWh、SR1系は3.02kWh。約40%も削減可能です。

CO2排出量は、2両導入することで年間約160tの削減が可能と算出されており、予定されている2両編成23本(46両)を全て置き換えた場合は、年間約3,600t以上の削減が期待できます。

鉄道チャンネル編集部

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