「適切な治療なされず」 大村入管収容者が国賠提訴

 長崎県の大村入国管理センターに収容中のネパール国籍の男性(38)が、適切な治療を受けられず病状が悪化したとして、慰謝料など約387万円の国家賠償を求める訴訟を6日、長崎地裁に起こした。代理人弁護士らが同日、県庁で会見した。
 訴状によると、男性は愛知県などでインド料理のコックをしていたが、在留資格を更新できず2019年1月、同センターに収容された。4月、施設内でサッカーをしていて他の収容者の足が当たり負傷。1週間後に施設内で医師から打撲と診断され、痛み止めを処方された。その後、痛みは増し、職員に外部の医療機関の受診をたびたび求めたが、実現しなかった。8月にようやく許可されたときには歩行が困難になっており、長崎大学病院に大腿(だいたい)骨頭壊死(えし)症と診断された。男性は現在、ほとんど寝たきりの状態で過ごし、手術を望んでいるという。
 代理人は会見で、必要な検査を行えば早期発見できたとして、男性が社会一般と同じ水準の医療を受ける権利を侵害されたと主張し「(訴訟を通じ)入管施設における医療上の処遇について問題提起したい」と話した。
 同センターは「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

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