C・ロナウドが黒子として貢献 ユベントスが首位ミランに3―1

Cロナへのマークは厳しい(ロイター)

6日(日本時間7日)に行われたイタリア1部(セリエA)注目の上位対決はアウェーのユベントスが首位ACミランを3―1で破り、9連覇中の王者の意地を示した。

前節まで勝ち点37で首位のACミランに対し、1試合消化が少ないとはいえユベントスは勝ち点27で5位。敗れたのは1試合だけで、失点もリーグ最少の14点と「堅守のユーベ」を体現してきたが、6つの引き分けがあるように、爆発的な得点力が影を潜め、勝ち切れない試合が多くなっているのが現状だ。

とはいえ、絶対エースのFWクリスチアーノ・ロナウド(35)の力が落ちたわけではない。C・ロナウドは前節まで11試合に出場し、14得点を挙げて得点ランキングトップを走る。むしろ、それ以外の選手の得点力に問題があるというのが正しい見方だろう。ユベントスでC・ロナウドの次に多く得点しているのは、途中出場が多いFWアルバロ・モラタ(28)の4点なのだから「Cロナ頼み」と言われても反論はできない。

当然、ユベントスと戦う相手はC・ロナウド封じに最大限の策を講じる。それは今季ここまで15戦無敗、昨季のリーグ再開から27戦無敗を誇っていたACミランも同様で、守備陣はまずC・ロナウドのポジションを確認し、そこへのパス供給源も断つというスタイルで臨んだ。

だが、この日のC・ロナウドは一味違った。いつものように、相手にとって危険な位置でプレーする回数を減らし、1列落ちるシーンを増やして相手のマークの受け渡しをあいまいにする役を演じた。それが功を奏したのが前半18分。空いた中央のスペースにFWパウロ・ディバラ(27)が入り、相手を欺く絶妙なヒールパスからFWフェデリコ・キエーザ(23、父は元イタリア代表FWエンリコ・キエーザ)の先制点が生まれた。

前半のうちに同点とされたが、後半17分にまたもディバラ―キエーザのホットラインで勝ち越しに成功。このシーンも直前に左サイドでパスを受けたC・ロナウドがやみくもに仕掛けず、あえて引くことで相手の守備の出足を止めた。同31分の3点目もC・ロナウドは左サイドに開いているだけで、MFデヤン・クルゼフスキ(20)とMFウェストン・マケニー(22)の連係でゴールを陥れ、ミランの不敗記録を止めた。

大一番では無類の勝負強さを発揮するC・ロナウドだが、ゴールにもアシストにも名前がないというのは珍しいケース。裏を返せば、それだけ〝黒子〟としての貢献度が高かった。おかげで今季3点に甘んじていたキエーザが2得点し、覚醒の足掛かりをつかんだ。2018年の移籍加入後、イタリアでの得点王獲得はないC・ロナウドだが、カテナチオと呼ばれる堅守の国でチームを勝たせ、仲間を育てるという能力にはますます磨きがかかっている。

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