IR誘致の賛否問う住民投票条例案を否決 横浜市会常任委

横浜市が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の立地場所として想定する山下ふ頭=同市中区

 横浜市のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の賛否を問う住民投票条例を巡り、市会第1回臨時会は7日、政策・総務・財政委員会を開き、条例案を賛成少数で否決した。委員長を除く10人の委員のうち、「自民党・無所属の会」と公明党の計6人が反対した。8日の本会議でも否決となる見通し。

 条例案は、市民団体が法定数の3倍超の署名約19万筆を集め、市に直接請求。この日、審査に先立って、横浜市政で初となる請求代表者3人による意見陳述が行われた。

 かながわ市民オンブズマン代表幹事・大川隆司弁護士は、住民投票により徳島市の可動堰(かどうせき)設置計画が中止となった事例を紹介し、「住民主権の実現こそが住民投票の本当の目的ではないか」と強調。横浜港ハーバーリゾート協会の水上裕之氏は「市民が納得できないことを首長・行政がやるのは民主的なやり方では決してない」と同協会の藤木幸夫会長の意見を代読、「カジノの是非を決める横浜市民の会」の藤田みちる共同代表は、「カジノのある街で暮らしたいか市民に聞いてほしい」と呼び掛けた。

 委員会には、副市長や局長、関係局の幹部らも出席して審査が行われ、「立憲・無所属フォーラム」、共産党、豊田有希氏(無所属)の計4人の委員が賛成した。

 緊急事態宣言が再発令されたことを受け、豊田氏から継続審査の提案が出されたが、否決された。

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