汎米日語教師合同研修会開講=南米5カ国12人が3週間=初のオンラインで実施

挨拶をする篠原日本語センター副理事

挨拶をする篠原日本語センター副理事

 日本語センター(日下野良武理事長)が5日、「汎米日本語教師合同研修」開講式をオンラインで開催した。ブラジルのほか、アルゼンチン、ペルー、チリ、ボリビアから日本語教師12人が参加し、オンライン上で3週間の研修を行う。

 来賓には在聖総領事館の小堤明日香領事、JICAブラジル事務所の門屋篤典次長、国際交流基金サンパウロ日本文化センターの洲崎勝所長らが出席した。
 第35回目の今年はコロナ禍のため全てオンラインで研修が実施される。「学習者に『考えさせる』を意識した、現場と時代に即した実践を考えられるようになる」を研修の到達目標に掲げる。

洲崎勝JFSP所長

洲崎勝JFSP所長

 日本語センターの篠原一宇副理事長は開講の挨拶で「アジア諸国では日本語学習者は500万人もおり、汎米は1%にも満たない」としつつ、「一方で汎米には日本文化に興味が有る人は大変多い」と語学だけでなく日本文化を教えていく事の重要性を訴えた。
 洲崎所長は「二つのお願い」を提示。ひとつは「お互いをよく知ること」で他の参加者の経験を活かすこと、もうひとつは「積極的に学ぶこと」を挙げた。
 小堤領事は「日本語学校が近くにない地域の人もオンラインなら学習できるという大きなメリットを活かして欲しい」とコメント。
 前年の閉講式に参加したという門屋次長は、「涙を流す研修員」の姿が印象的だった事を振り返る。
 開講式後には自己紹介と学校紹介が行われ、各自の教師暦や趣味、日本語を覚えた経緯、学校紹介の場が設けられた。参加研修員は教師になりたての人から教師暦15年目など幅広く、非日系も参加している。
 ボリビアのサンタクルス日本普及学校で教鞭をとって1年目の野田隼人さん(24、三世)は先輩から同研修を教えてもらい参加。「知っている人がおらずドキドキしてます」とは不安げな様子。
 オンライン学習の大変な点を聞いたところ、パラナ日伯文化連合会ロンドリーナモデル校のベネルト・ミズタ・やーゴ・カツミさん(29、三世)は「授業準備の作業量が増えた」事や「メールをしないかワッツアップのみ出来る人」といった各生徒のネット環境の差を挙げた。

研修の流れを説明

研修の流れを説明

 教師暦15年目で、サントス日本人会の日本語学校のアンダーソン・ミランダ・プレステスさんは、オンラインでパワーポイントを使用して授業をしている。「生徒が慣れるまで2週間かかり、以降は順調でした。ですが、半年後には生徒にも疲れが見てきた」と現状を語る。
 研修はオンラインとなるが「仲間づくり出来るもの」を考え協同作業できるグループワークを実施する。開講式・オリエンテーションを進行してきた鶴田広子教務主任は「自分たちで授業を作り上げる意識を持って参加してください」と激励を送り「是非現場で実践して頂きたい」と述べた。
 講師のひとり、横溝みえさんは初のオンライン研修に「試行錯誤中ですがきっと素晴らしい研修になる」と期待を込める。中南米の日本語教師は「素直に学ぶ姿勢」と「協力しあえる」のが良いところだと挙げ「各人が仲間を作って楽しくかけがえの無いもが見つかればいいなと思っています」と語った。

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