しんどい子どもが増えています…コロナ禍を生きる子どもの接し方とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月7日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストで東海大学客員教授の岸田雪子さんが、コロナ禍における子どもたちの生きづらさや大人たちがすべきことについて述べました。

◆ナイキ動画が刺さる背景にあるもの

いじめや差別に悩む10代のアスリートたちがスポーツを通じて繋がり、困難のなかでも前を向いて自身の力を発揮させる、そんな物語を描いたナイキジャパン(以下、ナイキ)のPR動画がYouTubeで公開。これはありのままの自分を受け入れられないことに悩む実在のアスリートの証言をもとに作られ、「最高のメッセージ」「泣いた」といった反響が広がっています。

この動画にはキーとなる言葉があり、それは序盤の「みんなに好かれなきゃ、我慢しなきゃ。それが当たり前だって思ってた」という呟き。それが後半には「でも、そんなことないかも。ないでしょ。ありえないって」となり、この変化について岸田さんは「自分たちで世界観をひっくり返していく、ありのままの自分でいいということを自分で認めていく」と解説。

今や子どもだけでなく幅広い世代に刺さっているこの動画の背景には「コロナ禍特有の社会状況がある」と岸田さん。それは何かと言えば、前述の「我慢しなきゃ」「好かれなきゃ」と同じ「○○しなきゃ」の呪縛で、「それに今、社会全体が覆われている」と言います。さらには「(誰もが)"ありのままに生きること”に難しさを感じている」と指摘し、「ルールを守る人ほど"しんどさ”を抱えやすい」とも。

◆コロナ禍で"しんどい”のは大人よりも子ども

こういった状況は大人に限らず、むしろ「ルールを守っていることでしんどいのは子ども」と推察。というのも、大人はGoToキャンペーンなどで外食や旅行を楽しめる反面、子どもたちは学校が再開して以降、感染対策が校則となったり、修学旅行などの学校行事が中止になったり、子どものしんどさは思いのほか深刻だと岸田さん。

国立成育医療研究センターが実施した調査結果では、「最近、学校に行きたくないことがあった」という子どもが約3割、「ストレス反応が見られた」という子どもがおよそ7割。そこには学校での息苦しさや近づく受験への不安、そして進みの早い勉強に対する遅れなどさまざまな要因があり、岸田さんは「そのあたりのストレス反応を社会で認識したほうがいい」と危惧します。

そんな今、先生や両親といった周囲の大人だけでなく、社会全体で考えるべきは「子どもたちの"達成感”や自分を好きになる"自己肯定感”を育む関わりを積極的に持つこと」と提起。「いい子」である必要はなく、まずは「ありのまま」の自分でいいことを認めること。さらには「コロナ対策に対しても子どもたちの意見を取り入れるべき」と主張。それだけで子どもは自分への肯定感を身につけることができると言います。

また、「具体的に"できた!”という体験の機会を積極的に作ってほしい」とも。それはスポーツや遊び、家事などでも良いそうで「達成感が持てる機会を大人が働きかけることが大事」と声を大にします。

現状、子どもの自殺者数もとても増えているそうで、最後に岸田さんは「子どもたちの状況は見えにくいが、ぜひ関心を持っていただきたい」と訴えます。

令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんは、ナイキの動画に感動の声が寄せられる一方で、批判的なコメントも多数見受けられることに触れ、「こういった良い問題提起があったときこそ"議論の仕方”を訓練すべき。学校で(この動画を)観せて"どう感じたか”など、本音で議論を始めてほしい」と願っていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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