IR誘致の賛否問う住民投票条例案、賛成少数で否決 横浜市会 署名19万筆超も審議わずか3日

©株式会社神奈川新聞社

住民投票条例案を否決した横浜市会本会議=8日午後4時10分ごろ

 横浜市のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の賛否を問う住民投票条例を巡り、市会は8日の本会議で、条例案を賛成少数で否決した。最大会派「自民党・無所属の会」と公明党が反対した。市民団体は2カ月をかけて法定数の3倍超にあたる署名約19万筆を集めたが、審議はわずか3日間で終了。住民投票が行われないことで、市は今後、事業者を公募するなど国への申請に向けた取り組みを進めるとみられる。

 本会議では、新型コロナウイルスの緊急事態宣言発令を踏まえ、一部市議が中継で討論を見守る中、自民系会派が「軽々に市民に判断を委ねる問題ではない」と主張。立民系会派は「さまざまな立場の市民が住民投票による民意の確認を求めている」と訴えた。

 議長を除く市議85人のうち、自公の計51人が反対し、立民、共産、無所属、神奈川ネットの計34人が賛成した。採決の直前には、傍聴席から「強行採決やめろ」「市民の意見を聞け」などのヤジや怒号が飛び、6人が退場となった。

 閉会後、林文子市長は「市民の気持ちを受け止めて市政をやっていくという気持ちに変わりない」と説明。「今まで依存症対策や懸念材料は大丈夫と言ってきたが、それだけでは足りていないと今回改めて感じた。ここをIRの議論の一つの入り口として捉えたい」としたが、計画が具体化した段階で直接民意を問う考えがあるか問われると、「それはないです」と断言した。

 市は今後、事業者を公募し、選定された事業者と区域整備計画を作成するが、公募時期は未定。10月~22年4月までに国に認定を求めて申請する見通しを示しているほか、来月からは市民向けのオンライン説明会を開始するとしている。

 IR事業者を公募する条件などを定めた市の実施方針案によると、IR整備区域は山下ふ頭(同市中区)の約43ヘクタール。事業期間は「35年」で、設置運営費は事業者負担だが、護岸の災害対策や区域外の交通手段などインフラ整備は市の負担としている。