スカウトは「やんちゃそうな子」も… 恩師が明かす楽天ドラ2最速156キロ高田の素顔

恩師の前法大監督・青木久典氏から贈られたネクタイを締めた高田孝一【写真提供:楽天野球団】

前法大監督の青木久典氏からもらった臙脂色のネクタイで入寮

楽天ドラフト2位の高田孝一投手(法大)。即戦力候補の最速156キロ右腕に、恩師も期待の眼差しを送る。昨年末に任期満了で法大監督を退任したばかりの青木久典氏は、教え子の意外な素顔を明かし、プロで活躍するためのポイントを指摘した。

高田は6日に楽天の泉犬鷲寮へ入寮した際、臙脂(えんじ)色のネクタイを締めていた。「青木監督から頂いた物で、臙脂色に白や青のラインが入っている所がとても気に入っています」と披露し、「移動の時は球団指定のスーツがありますが、その他スーツを着る時にはぜひ、このネクタイを締めたいと思います」と語った。

贈った側の青木氏は「毎年、チームの役職を担ってくれた選手には卒業前に社会人の身だしなみとして、ネクタイをプレゼントしてきました。昨年の副主将の高田には楽天のチームカラーをイメージした臙脂、主将でNTT東日本へ進む中村(迅内野手)にはブルー、投手キャプテンでロッテ1位指名の鈴木昭汰には黒の物を贈りました」と明かす。「気に入ってくれたのであれば、妻と一緒に選んだ甲斐がありましたね」と笑った。

高田は一見すると強面のようで、グラブをはめた左手を打者の方へグイッと突き出す投球フォームが、“ハマの番長”の異名を取ったDeNA・三浦大輔監督の現役時代をほうふつとさせる。青木氏は「プロのスカウトの方々からも『やんちゃそうな子ですね』などと言われましたが、とんでもない。素顔は頭が良く、何事も理詰めで進めるタイプ。まさに頭脳派の投手です」と苦笑交じりに証言する。

法大野球部では、2014年に監督に就任した青木氏のもと、スポーツ健康学部の講師の協力で血液検査を行い、血中乳酸濃度などを測定しながら科学的なトレーニングを推進する。さらに、MLBやNPBの各球団が活用している「トラックマン」を導入し、投球のリリースポイントや回転軸、回転数などを、部員の中から任命されたアナライザーが解析している。これらの機器やデータを人一倍活用しながら、トレーニングやピッチングに取り組んできたのが高田だ。

高田へのアドバイス「緩急つけて。カーブに磨きを」

「そのお陰もあって、高田は“無事これ名馬”で肩や肘を故障したことがありません」と青木氏。「たとえば私が高田に『体重移動がスムーズにできていないぞ』とアドバイスした時も、彼はとっくに自分の投球フォームを動画で見て認識済みで、既に改善へ向けて試行錯誤をしていた。実に探求心が旺盛です」と称える。

プロ1年目から活躍が楽しみだが、富士大監督時代に西武の山川や外崎、多和田、広島の中村恭、法大監督就任後も広島の宇草、ロッテの福田光ら数多くのプロ選手を育ててきた青木氏の目からみると、やはり課題も残る。

高田は自慢の快速球を軸に、カットボール、スプリットなど曲がりの小さな変化球で仕留めるタイプ。青木氏は「プロでは相手打者のレベルが上がるので、もっと遅い球を覚えて、ストレートとの緩急をつけてほしい」と要望する。「もともとカーブも投げられるので、磨きをかけてほしい。明大から広島入りして新人王に輝いた森下君が活躍できたのも、あのカーブがあるからだと思います」と語った。

「しっかりしている子なので、最初に少し打たれることがあったとしても、落ち着いて自分のペースで成長していってほしいです」と青木氏。恩師の視線を背中に受ける高田は「まずは開幕1軍を勝ち取り、1年間チームの戦力として貢献していきたい」という目標を掲げる。10日からは仙台市内で新人合同自主トレがスタート。培ってきた土台をもとに、プロの世界で飛躍していく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2