マヂカルラブリー〝M-1漫才論争〟に一石 スーマラ武智の金言

M-1覇者のマヂカルラブリー

マヂカルラブリーが「M―1グランプリ2020」で優勝し露出が急増しているが、彼らのジェスチャー中心のしゃべらないボケネタに、いまだに「漫才か否か」で白熱した議論になっている。

ニューヨークの屋敷裕政は「一番オモロかった!」と認めつつも「やっぱりマヂラブさんのネタは、どっちかっていったら漫才じゃないかな。やっぱ漫才はしゃべりでしょ。あんな動きだけでやるネタは漫才じゃないと思う」と“否定派”だ。

博多大吉は「結局、漫才の定義がない」と指摘し、こう言うのだ。

「一応、言われたことありますよ。漫才はセンターマイクがあって、身一つで2人だけでやるものと。小道具だとか、効果音を使ったりとか、そういう仕掛けがないと。ただ、もともと漫才師って鼓を持っていたんですよね。音曲漫才から始まってるから。昔の映像見ると、大師匠たちも平気でボクシンググローブつけて殴り合ったりしてるから。だから、漫才って、いろいろあるんです」

かまいたちの山内健司は「M―1は会場で一番ウケた人が優勝すべき大会だと思うんです。2009年に僕らが出場したときは、(優勝した)ミルクボーイが一番ウケてましたし。今回も間違いなくマヂカルラブリーさんが会場でウケてたんで何の異論もないです」とシンプルな意見を持つ。

ネタの構造的に漫才だと主張する芸人もいる。スーパーマラドーナの武智は「たしかに、会話はなかったんですけど、動きでツッコミの村上とやりとりをしてるわけで。動きで会話してるわけですよ」。また、M―1グランプリとTHE MANZAIの両方を制したパンクブーブーの佐藤哲夫も「“振りがあって、ボケがあって、ツッコミがあって、戻って”っていう、もう王道中の王道の漫才」と主張する。

周囲はそのように議論に夢中だが、当のマヂラブの野田クリスタルはというと「『漫才じゃない』って言われても、俺はM―1優勝したからもう、どうでもいいんですよ。ネタ中、『漫才だ!』とか『コントだ!』って意識してやってないじゃん。だから僕は『出し物』って呼んでます」と晴れやかだ。

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