サッカーのオーストリア1部リーグは約1カ月の冬期中断を終えて22日から 再開する。J1清水から移籍して2季目で、公式戦4得点を決めているラピッド ・ウィーンのFW北川航也にシーズン後半に向けた意気込みや欧州リーグのアーセナル(イングランド)戦で決めたゴール、日本代表復帰への思いなどをオンラインで聞いた。(共同通信=田丸英生)
▽スピードは通用
―初出場した欧州リーグは1次リーグで敗退したが、アーセナルと2試合できた。
プレミアリーグでも世界的に有名なアーセナルと試合ができたことは、自分にとってもチームにとってもいい経験になった。相手に読まれたりつぶされたりする場面もあったが、通用するプレーもあると肌で感じることができた。
―対戦してすごさを感じた選手は。
ラカゼット選手は今までゲームの世界やテレビでしか見たことがなかった。スピードがあってドリブルをよくする選手かと思っていたが、それだけでなく中盤で試合を組み立てるところもやる。相手に寄せられても動じず、全てにおいて存在感があった。
―相手DF陣の印象は。
くさびに入ってくるボールには絶対つぶしに来るし、ファウル覚悟でもそこで起点をつくらせない、前を向かせないという意識を非常に感じた。でも前を向いたときに仕掛けていくスピードは通用するのかなと感じた。
―アウェーで1-4と敗れた一戦ではボレーシュートを決めて一矢を報いた。
結構ボールが高く上がって回転もかかっていたので、ミートすることしか考えていなかった。コースは全く見えていない状況だったので、うまくミートして入って良かった。どの試合でもゴールという結果に変わりはないが、相手がアーセナルということもあって日本でも取り上げてもらえた。また来季もあの舞台で戦いたい。
▽1分1秒も無駄にできない
―国内リーグで3試合連続先発して2得点した時期もあったが、レギュラーに定着できていない。
監督が決めることなので仕方ない部分はある。悔しい気持ちがあっても、日々の練習を怠ることは絶対にしたくない。焦る気持ちがないと言ったら嘘になるが、試合に出ていなくてもやるべきことは変わらない。常にいいモチベーションで前を向いて練習に取り組んでいる。
―監督から求められているプレーは。
前へ行く姿勢というのは常に言われている。ボールを持ったときに前が空いているならドリブルで運び、ゴール前だったらどんどん自分の長所を出して仕掛けること。ボールを持ってスピードアップしたときに通用しないと思ったことはあまりないので、どんどん試合の中で出していきたい。
―昨年11月には日本代表がオーストリアで合宿したが招集されなかった。
日本代表は特別なチームなので、選ばれたい気持ちは常に持っている。選ばれなかったということは、まだまだだということ。また次の活動までにもっとレベルアップをしようと思った。
―2019年のアジア・カップを最後に日本代表から遠ざかっている。
日本代表で結果を残したいと思っているので、今はチーム(ラピッド・ウィーン)の練習を1分1秒も無駄にできない。海外の選手と1年半くらい戦ってきて、その強さや速さを感じながらプレーできている。森保監督も常に言っているように、試合で結果を残している選手が呼ばれるべきだと思うので、貪欲にゴールという数字を残していくだけ。
―この1年半で、屈強なDFに当たり負けしなくなったのか、うまくいなせるようになったのか。
両方だと思う。ボールを持ったときになるべく相手の足の届かないところにボールを置くとか、相手に当たられないところにポジション取りをしながら裏へ抜けていくとか、そういう判断ができている。まだまだの部分は多いが、試合や練習の中で自分の長所を出せる場面は増えている。
▽タイトルを取りたい
―体重や筋肉量の変化は。
あまり変わらないが、一時帰国したときにいろいろな人から『大きくなったね』と言われる。ピッチが日本より緩い粘土質なので、そこでやっていれば自然と足腰は強くなるんじゃないかなと思う。
―2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会まで2年を切った。
現状に満足することは一切ないが、今の自分が置かれている立場をしっかり受け入れないとこの先はない。あと2年はすぐだと思うので、自分の持っているものを全て出さなければいけないという危機感はある。
―それで、1分1秒を無駄にできないと考えている。
試合に出られない期間が長いと、そういうものをすごく感じる。シュート練習でも一本、一本にこだわって、絶対に決めるという考え方に変わった。
―数年後に他のリーグでプレーしたいなど、先に見据えているものは。
特にはない。欧州でプレーする機会を与えてくれたこのチームには感謝をしているので、ラピッド・ウィーンでタイトルを取りたいと強く思う。
―今季の目標ゴール数は。
FWである以上は2桁ゴールを狙っているし、そこが通過点になる。まだまだ数字的には足りないので、まずはその目標を達成したい。