米民主党、トランプ大統領の弾劾決議案を準備 週明けに提出へ

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ドナルド・トランプ米大統領の支持者たちによる議会襲撃を受けて、野党・民主党は大統領が「反乱を扇動」したとする弾劾条項を含む訴追決議案を11日にも連邦議会の下院に提出する見通しとなった。

民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は8日、トランプ大統領が直ちに辞任しないなら弾劾手続きを進めると述べた。

民主党は5人の死者を出した議会での暴動を、トランプ氏が助長したと非難している。

ジョー・バイデン次期大統領は弾劾は議会が決めることだとしつつ、「トランプ大統領は以前からこの職務にふさわしくなかった」と述べた。

ホワイトハウスは「政治的動機」による動きだと弾劾に反発。「我々の偉大な国を、さらに分断させるだけだ」とした。

今回弾劾手続きが進行した場合、下院がトランプ氏の弾劾を求めるのは2019年12月以来2度目となる。当時下院はトランプ氏を権力乱用と議会妨害で弾劾訴追したが、翌2020年2月に与党・共和党が多数の上院が弾劾条項2項目について無罪評決を下した。

弾劾手続きが2度もとられた米大統領は、過去にいない。しかし、上院は1月20日まで共和党が多数派。解任が認められるには、下院の過半数のほか、上院の3分の2以上の賛成が必要なため、今回も同氏が弾劾裁判で有罪になる可能性は低い。

つまり下院での弾劾手続きは、トランプ氏に議会襲撃の責任を問う象徴的行動に過ぎないことになる。

暴動をめぐり政権関係者が相次いで抗議辞任したほか、共和党の著名議員たちも民主党のトランプ氏解任要求に同調するなど、トランプ政権がさらなる危機に陥る中、下院は弾劾決議案の準備に言及した。

トランプ氏支持者による議会襲撃を受けて、複数の議員や過去の政権関係者、元軍幹部たちは、トランプ氏が核攻撃開始権限を持ち続けていることを深く懸念している。複数の議員は、トランプ氏がミサイル発射コードにアクセスしないようにする方法を軍トップと協議するようペロシ氏に求めている。

ペロシ議長は、トランプ氏が自ら辞任するか、閣僚たちが憲法修正第25条にもとづき、大統領を解任する方が望ましいと話していた。

修正第25条とは、大統領が心身状態の不調から職務が遂行できなくなった場合の措置を定めたもの。手続き中はマイク・ペンス副大統領が大統領代行となる。ただし、トランプ氏が書面で議会に異議を申し立てた場合、解任には連邦議会両院の3分の2以上の賛成が必要となる。

さらに、ペンス副大統領は修正第25条の発動に消極的だとされている。

8日はワシントンにとって劇的な1日となった。その他の展開は次の通り――。

  • トランプ氏は1月20日のバイデン氏の大統領就任式には出席しないと表明
  • 米連邦捜査局(FBI)が議事堂襲撃時に負傷して死亡した警官ブライアン・スニック氏に関する捜査に加わった
  • FBIによると、議会を襲撃した侵入者数十人がFBIに逮捕され、連邦地裁に起訴された。中には、ナンシー・ペロシ下院議長の執務室で机に足をのせて座る写真に収まり、議長の机から封筒を持ち出したと自ら語っていたリチャード・バーネット被告(60)も含まれる
  • ツイッター社がトランプ氏の個人アカウントや選対アカウントを永久凍結。複数の他のソーシャルメディアも同様の措置をとっている
  • ペロシ下院議長のスタッフが、自分のラップトップ・コンピューターが襲撃中に盗まれたと明らかにした

民主党の弾劾決議案の内容は

BBCがアメリカで提携する米CBSニュースによると、民主党が策定している弾劾決議案は、「ドナルド・ジョン・トランプは、合衆国政府への暴力を意図的に扇動し、『重罪と軽罪』を犯した」としている。

決議案は、「連邦議会議事堂での無法行為」に至った行動を鼓舞する発言を大統領がしたと非難。

この行動は、ジョー・バイデン次期大統領の当選認定を「覆し妨害しようとした、従前の努力と合致する」として、「これによって大統領としての信任に背信し、合衆国の国民に明らかな危害をもたらした」と、決議案は糾弾している。

トランプ氏は、バイデン次期大統領の勝利を連邦議会が確定する6日に、支持者たちにワシントンに集まるよう呼びかけていた。

連邦議会の審議中に起きた議会襲撃の前、トランプ氏はホワイトハウス前の支持者集会で、「我々は決して諦めない、決して負けを認めない」、「この国を取り戻すには、決して弱さを見せてはならない」と主張。実際に圧勝したのは自分だと繰り返し、支持者たちに、連邦議会へ向かって進むよう呼びかけていた。

議会襲撃では、市民4人と議会警察の警官1人が死亡した。

弾劾手続きとは

合衆国憲法第2条第4節は、「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と規定している。

弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院がそれぞれ持つ。

下院でこの弾劾決議案を可決した後、上院が弾劾裁判を行う。上院議員の3分の2以上が賛成すれば、大統領を解任できる。

現在の下院では、定数435議席のうち民主党が235議席を占めているため、弾劾訴追が成立する可能性は高い。

一方の上院は、定数100議席のうち共和党が53議席を占める。解任の動議成立に必要な3分の2以上の賛成票を得るには、多数の共和党議員が造反する必要があるため、大統領が実際に解任される見通しは少ない。

政府と共和党は、弾劾裁判は最長2週間とするよう求めている。

過去の大統領で弾劾されたのは、アンドリュー・ジョンソン第17代大統領とビル・クリントン第42代大統領のみだが、上院の弾劾裁判が有罪を認めなかったため、いずれも解任はされていない。

リチャード・ニクソン第37代大統領は弾劾・解任される可能性が高まったため、下院司法委の弾劾調査開始から3カ月後に、下院本会議の採決を待たずに辞任した。

(英語記事 Democrats to introduce Trump impeachment article