安倍政権でも菅政権でもとにかく権力大好き! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位発表!指原莉乃、ほんこん、小松靖もランクイン

リテラ が毎年年明けにお送りしている恒例の「御用ジャーナリスト大賞」。2020年は安倍晋三首相が辞任、菅義偉首相が誕生したが、御用ジャーナリスト・MC・コメンテーターのみなさんは相変わらずだった。

何しろ、後手後手のコロナ対策やアベノマスク配布、検察庁法改正などのひどすぎる政策や政治的動きを無理やり肯定し、安倍首相が国民の支持を失って無責任に政権を放り出すと、「安倍首相におつかれさまを言え」と国民に感謝を強要。菅首相が誕生して日本学術会議への人事介入や「GoTo」強行などで、安倍前首相に負けず劣らずの強権政治を展開しても、ひたすら擁護し続けたのだ。

権力者や独裁政治が大好きなだけで、政策の中身なんて何も関係ないのがまるわかり。しかも、政権のデタラメが完全に露わになってしまったせいで、御用ジャーナリスト・コメンテーターたちの権力擁護のやり口もさらにエクストリーム化し、悪質になっている。

2020年、いったい誰がどんな御用発言をし、どんな正体を晒したのか。前編では10位〜6位をお届けする。

ちなみに、毎年説明しているが、この御用ジャーナリスト大賞では地上波に出演しているMCやコメンテーターを対象にしており、櫻井よしこや百田尚樹、高須克弥などの極右orネトウヨ文化人の皆さんは、あらかじめ除外しているので、ご了承いただきたい。

では、10位からいってみよう!

10位●指原莉乃
検察庁法改正に声をあげた芸能人を「勉強不足」「偏ったやつだけ見てる」とネトウヨばりのスリカエ攻撃

権力おじさんの論理を内面化したような発言を連発、安倍前首相にも番組で「産めれば産めるだけ産みますよ。国に貢献したい」とこびへつらったうえ、なかよく焼肉を食べたこともある指原莉乃。まあそれでも「御用ジャーナリストというほどじゃないか」と当ランキングには入れてこなかったのだが、2020年は検察庁法改正をめぐる発言でさすがに見逃すわけにはいかなくなった。

周知のように、安倍首相が“官邸の番犬”黒川弘務・東京高検検事長を検事総長にするため法律を捻じ曲げようとしたこの問題では、きゃりーぱみゅぱみゅ、小泉今日子、大久保佳代子など多くの芸能人も反対の声をあげ、抗議の動きが大きなうねりに。結果、改正法案は異例の見送りに追い込まれた。

ところが、指原はこうした勇気ある芸能人たちの声を逆に「勉強不足」と攻撃したのだ。

それは、2020年5月17日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)でのこと。MCの東野幸治から指原もこの問題についての発信を求められたのではないか、と振られると、指原は「私はまだそこまでの、固い信念を持つほど勉強できてなかった」と予防線を張りつつ、こう語った。

「もちろん勉強した上で書いてる人もたくさんいると思うんですけど、もしかしたらたった一人が言っていることを信じて書いている人もいるんじゃないのかなって思っちゃいました」
「本当にそれ(改正反対)を信じていいのか、双方の話を聞かずに、どっちもの意見を勉強せずに、偏ったやつだけ見て、『えっそうなのヤバイ広めなきゃ』という人が多い感じがしています」

これに対して、共演していたEXITの兼近大樹が即座に「勉強しないと参加したらいけないのが政治っていうわけじゃなくて、誰でも批判することって自由だと思う」と反論をしていたが、しかし、指原の発言はよくある「芸能人が勉強不足のまま政治発言するのはやめたほうがいい」という優等生的なスタンスから出たものではない。

検察庁法改正がイデオロギーや意見の相違の話ではなく、司法の独立を侵す暴走であることはその後の撤回を見ても明らかなのだが、指原はわざわざ検察庁法改正を批判した人たちだけを俎上に載せて「双方の話を聞かずに」「偏ったやつだけ見て」いる人が多いと、攻撃したのだ。

これって安倍応援団やネトウヨとまったく同じ。とにかく政権の不正に疑問を呈しただけの人を「偏っている」「公平じゃない」と決めつけ、不正の追及を封じ込めようとしているだけだろう。

しかも、指原が狡猾なのは、自分は勉強不足だからコメントできないなどと言って中立を装いながら、コメントしている人間を軽率であるかのように印象付けていることだ。

テレビでもSNSでも大きな影響力を持ち、世間の空気を読みながら巧妙なやり口で政権批判を封じ込める指原の存在は、もしかしたらベタベタな御用ジャーナリスト、御用コメンテーター以上に危険かもしれない。ということで、10位に初ランクインさせてもらった。

9位●立川志らく
学術会議問題では「税金使ってんだから」と“お上忖度体質”丸出しも、MC番組が視聴率低迷で存続の危機

『ひるおび!』(TBS)やツイッターを中心に、野党バッシングに精を出し安倍政権をアシスト、反ポリコレを“昔気質の親父のぶっちゃけ正論”としてふりかざし、2019年秋に『グッとラック!』(TBS)MCの座を手に入れた立川志らく。その頃から、「政権擁護していない」「ネトウヨじゃない」「自分は中立」などとやたら予防線を張りまくっていたが、やはり、その“お上忖度体質” “長いものに巻かれろ精神”はなかなか変えられないらしい。

2020年も安倍首相の「桜を見る会」前夜祭問題に「どっちもどっちのような気がしますけどもねえ。もっとうまいやり方が野党のもあると思うんだけれども。あまり感情的にならずに、多くの人は与党のほうはかなり苦しい状況に追い込まれていることはもうわかっているんで。あんまり感情的にならないほうがいいと思いますね」(『ひるおび!』2020年2月5日放送)と“どっちもどっち論”をぶったり、コロナ休業補償で「接待飲食業」や「性風俗業」を排除するというとんでもない差別政策をツイッターで擁護したり、あるいはフェイクとして有名な「江戸しぐさ」を事実のように言いふらしたり(『グッとラック!』2020年8月21日放送)。

なかでもひどかったのが、日本学術会議任命拒否問題をめぐる言動。たとえば、10月5日放送の『グッとラック!』で、志らくはこんなふうに、学術会議を批判した。

「10億円の予算を国からもらってやるからいけないんであって、別にこんなのなくていいんじゃないですか?」
「学問の侵害、弾圧につながるって言うんだけども、だけど別に研究はできるわけで、学者の意見を聞きたいのならば、それだけの組織をつくればいいんですよ」
「税金使ってやっているから、国が決めたものに対して『違う』って人の意見が多いと『なんだい?』って、上は思いますわね、当然」

税金が投じられているのだから、国に楯突くようなことは言うな──。こんなことがまかり通れば、戦時下において科学者たちが戦争に協力したのと同じことが繰り返されてしまう危険がある。その反省のもとに日本学術会議はあるというのに、志らくは戦前に引き戻すような暴論を振りかざしたのだ。

実は志らくの“税金を使うならお上の言うことを聞け”発言は今回だけではない。2019年のあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」をめぐっても「自民党が認めないから金は出さないとはっきり言え」という趣旨で同様の主張をしていた。

志らくのこうした論理がまかり通れば、その先には必ず「公金を受け取ったら政府の命令どおりのプロパガンダをつくれ」とか「生活保護を貰うなら一切文句を言うな」という圧力も正当化されるようになる。そして最終的には「公共のサービスを受けているのだから、政府を批判するな」というような言論管理社会がやってくるだろう。

ようするに、志らくは訳知り顔でエラソーにコメントしているが、民主主義の基本となっている「学問の自由」も「言論の自由」もまったく理解していないのである。

志らくについては、MCを務める『グッとラック!』が視聴率低迷で終了か?ともささやかれているが、こんな反民主主義的コメンテーターには『グッとラック!』だけでなくすべての情報番組から消え去ってもらいたい。

8位●岩田明子(NHK政治部記者兼解説委員)
本人の情報提供?で安倍辞任をスクープ、わずか10分後に詳細な病状解説! “アベサマのお告げ係”の面目躍如

安倍政権は終わったが、この人を入れないわけにはいかないだろう。安倍首相とは公私を共にする付き合いで、その言い分を代弁する“お告げ係”とまでいわれていたNHK政治部の岩田明子記者。2020年は最後の最後にあまりに露骨な御用ぶりを発揮した。

安倍首相の辞任の意向はNHKが他社より先んじて速報を流したのだが、その後、10分も経たないうちに岩田記者が解説を開始。そこで岩田記者は、こう解説をおこなった。

「まず、安倍首相の辞任の意向の理由ですけれども、やはり体調が万全でないなかでの政治判断を誤ってはならないという理由が最大の理由だと見られます。2週続けて慶應病院で検査を受けてきましたけれども、その結果、最初の検査で持病の症状が悪化しているということが確認されまして……」
「今月17日の検査で(持病である潰瘍性大腸炎の)炎症の程度を評価するための数値が上昇し、症状が悪化していることが確認されました。違和感は先月の7月ごろから感じていたということなんですね。そして、その次の週の24日の週には、新たな薬・レミケードによる治療で症状がだいぶん改善して……」

この解説は、その後17時からおこなわれた会見で安倍首相本人が語った辞任の経緯や理由とまったく同じもの、かつそれ以上に詳しいものだった。

岩田記者といえば、2019年の改元でも、菅義偉官房長官が「令和」と発表した直後から、事前に新元号を知らされ、選定した理由まで伝えられていたとしか考えられないような解説をおこなっていた。このときと同じで、今回の「辞任」スクープも岩田記者が安倍首相本人から情報を得ていたのだろう。

しかも岩田記者とNHKは、スクープ直後から「安倍政権の功績」を礼賛し続け、“無念の辞任”を演出。2度目の政権放り出しを追及することもなく、森友・加計・「桜を見る会」といった不祥事もほとんど触れず、なかったことにしてしまった。

まさに、安倍首相のPR係の面目躍如だったわけだが、菅政権になってからはこの岩田記者個人は目立たなくなり、代わりに原聖樹政治部長が官邸の御用聞きに。各番組に官邸の意向を伝え圧力をかけまくっているという。

最近では、菅首相が『ニュースウオッチ9』に出演した際、有馬嘉男キャスターが学術会議任命拒否問題についてごく当然の質問をしたところ、内閣広報官がこの原部長に「総理、怒っていますよ」「あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う。どうかと思います」などとクレームの電話。すると、NHK内部ではさっそく有馬キャスターを3月で降板させようという動きが出てきた。安倍政権が終わっても、NHKの御用ぶりは終わらないということらしい。

7位●ほんこん
調子に乗って「正論」にまで進出も、「おもんない」と言われて法的措置ちらつかせる醜態

松本人志を筆頭に、小籔千豊、千原せいじ、ブラックマヨネーズ吉田敬など、所属芸人が続々と政権御用化・ネトウヨ化している吉本興業だが、そんななかでも2020年にやたらと目立ったのが「ほんこん」だろう。

もともとお笑いの腕やトーク力はさっぱりで、相方の板尾創路が俳優に専念し始めると、テレビで見なくなっていたほんこんだが、2〜3年前からネトウヨ丸出しの政権擁護や中韓攻撃をはじめたことで復活。2020年はそのネトウヨぶりがさらに本格化し、極右雑誌「正論」(産経新聞社)2020年1月号にまで登場した。

もっとも、発言じたいはまったく芸がなく、「正論」でも「桜を見る会とか追及してる場合ちゃうで」などと、ネトウヨが全員口にしているような定番すぎる安倍擁護を口にするだけ。

いや、芸がないだけならまだいいのだが、頭の悪さが尋常じゃない。たとえば、安倍首相の辞任表明会見のときは、出演している関西ローカルの情報番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)で、「記者会見で、一人だけでしたかね、お疲れさまって言った記者は。他はなぜ言わないのか」(2020年8月20日放送)と、ドン様に忠誠を誓わせる何処かの国の秘密警察みたいなことを言い出した(そういえば、ほんこんの親分・松本人志も『ワイドナショー』で「お疲れさま」と言っていた)。

もっとひどかったのはその1週間前。まだ安倍首相が辞任を表明する前、やはり『正義のミカタ』で体調不良の話題になったのだが、このネトウヨ芸人、こんなことをまくし立てた。

「総理の体調のこと、テレビで取り上げんほうがええと思うのよ。これ、国家機密やで。総理の体調、どうのこうの言うてるの、日本くらいやで。ほんまに」
「だから、それをやったら、ほんなら国会出てきて説明せえ言うてる野党の方いてるやん。それおまえ、国のトップが、体調悪いんです言うたら、これ攻め時やないかってならへんか。せやろ。そんなもん、バカ!」(『正義のミカタ』2020年8月22日放送)

総理の体調を報道しているのは日本だけとか、国のトップの体調が悪いことがバレると他国が攻めてくるとか、それこそバカはどっちだという話だが、もっと呆れたのはその後だった。

この発言がネットで批判されると、ほんこんは批判者を攻撃。さらに「ほんこん、おもんない」と批判されたのに対し、逆ギレし法的措置をちらつかせる騒動まで起こした。

頭の悪さだけでなく、性格の悪さと言論弾圧体質まで露呈したほんこん。しかし、本人は反省するどころか、右派メディアやネトウヨファンにおだてられて、完全に調子に乗っているようだ。年明け早々にはツイッターで「朝生に俺を呼べ」と息巻く始末だった。

まあ、この「おもんない芸人」が露出すればするほど、右派的主張の頭の悪さ、トンデモぶりが世間に認知されることにもなるのだが……。

6位●小松靖(テレビ朝日アナウンサー)
ニュース番組MCに出世でネトウヨぶりに拍車 右派雑誌で「何をもって安倍政権のコロナ対応を批判しているのかわからない」

2020年秋に『ワイド!スクランブル』の司会者から、夕方のニュース番組『スーパーJチャンネル』メインキャスターに出世したテレビ朝日の小松アナ。しかし、そのネトウヨぶりは2020年健在だった。

たとえば、2020年9月1日放送の『ワイド!スクランブル』では総裁選をめぐって、こんなメディア批判をぶってみせた。

「これまでのメディアの理論ですと、両院議員総会のバージョンはフルスペックの党員投票より何か不完全な選出方法であるという印象を、おそらく国民のみなさんお受けになっていると思うんですが、今回は非常事態につき2つある方法の1つである、そして正式な手続きである両院議員総会を開くんだということをちゃんと伝えなければ……」
「フルのほうがいいんでしょう、でもこういう緊急事態にはもちろん正式な手続きとしてそちらをやるということではあるわけですよね」

昨秋の総裁選で党員投票をしなかったのは、安倍政権の政敵であり党員人気の高い石破茂氏当選の芽を潰すためなのは誰の目にも明らか。あの田崎史郎氏ですら「党員投票をやったほうがいい」と言っていたのに、コロナで緊急時だからという建前を真顔で正しいことのように伝えるとは……ほとんどネトウヨツイッタラーと変わりがない。

しかも、驚くのは局アナでありながら、右派雑誌に登場して自分の政権擁護を堂々と正当化し始めたことだ。

小松は「Voice」(PHP研究所)2020年12月号のインタビューを受けて、このように語ったのだ。

「何をもって当時の安倍政権の対応を批判しているのかわからない、という思いがありました。」
「刻々と状況が変化する現場での措置に思いを致さず、「雰囲気」で糾弾するのはフェアではありません。私は政権を擁護したかったわけではなく、何をもってその対応を批判しているのかの客観的な材料を示すべきだと訴えたかったのです。」

「なにをもって批判しているのかわからない」って、それ、安倍首相と同じで不都合な事実すべてに目と耳を塞いでいるだけだろう。

しかも驚いたのは、政権批判に疑問を持ち始めた理由について、同インタビューで「個性の強い「ABEMA Prime」の出演者や、番組の進行と並行して流れるSNSの意見を見聞きしているうちに、自分がこれまで接してきた情報はほんの一部にすぎなかったことに気づき始めたのです」と語ったことだ。

ようするに「ABEMA Prime」のキャスターとして極右コメンテーターの解説やネトウヨのSNSにふれて、マスコミ報道が正しいと限らないことを知ったというのである。

小松アナといえば、もとからネトウヨぶりが局内でも有名で、あの田母神俊雄センセイを支持していたという話もあるほどだったから、別に「ABEMA Prime」行こうキャスター以降という話ではないと思うが、しかし、こんな“ネットde真実”みたいなことを言う人が、地上波・帯の報道番組のキャスターって、テレビ朝日は大丈夫なんだろうか。

いや、全然大丈夫じゃないのである。テレ朝は、安倍政権以降、早河洋会長と安倍前首相の蜜月によって、政権批判潰しと御用メディア化がどんどん進行している。ネトウヨアナの小松が『スーパーJチャンネル』のメインキャスターに出世したのもその路線の延長線上に起きたことなのだ。

小松アナの調子の乗り方をみていると、テレ朝という局自体が日テレやフジをすっとばして、DHCテレビ化する日も遠くない気がしてくるのだが……。
(後編に続く)
(編集部)

© 株式会社ロストニュース