「責めてほしくない」元祖入れ墨ボクサー・大嶋宏成氏が井岡一翔を擁護

大嶋宏成氏

〝元祖入れ墨ボクサー〟の見解は――。昨年大みそかにWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(31=Ambition)が、田中恒成(25=畑中)とのタイトルマッチで左腕のタトゥーを露出させ、波紋が広がっている。日本ボクシングコミッション(JBC)は一翔に対する処分を検討する方針。かつてタトゥーを消してリングに上がった男は、どう見ているのか。

一翔のタトゥー問題が物議を醸している。WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(27=大橋)も「ルールがある以上守らなければ」とツイート。JBCの安河内剛事務局長(59)は「ルールがある以上は処分を議論する対象になる」としており、倫理委員会で処分を検討する方向だ。

そんな中、現在は都内でボクシングジム「シャイアン大嶋ファイトクラブ」を率いる大嶋宏成氏(46)もこの問題に言及した。大嶋氏といえば胸の入れ墨を、尻と太腿の皮膚の移植手術により隠してリングに上がったボクサーとして、当時大きな話題となった。

「僕はボクシングをやりたい一心でルールに従っただけだった。胸の部分はダメと言われたが、もし『大丈夫』と言われていればそのままリングに上がったと思う。今回は注目度も高いというのは分かっていたはずなんだから、コッミショナー、関係者が試合前にもっとしっかり徹底すべきだった。終わってから言うのはかわいそう。いろんな意見は仕方ないが責めてほしくない」

一翔を擁護したが、大嶋氏の入れ墨はプロになる前からのもの。ボクサーを続けるために、激痛を伴ってまで対処した。一方の一翔は一時引退はあったとはいえ、十分なキャリアがある中でタトゥーを入れている。その一翔に試合の許可が下りていることに〝不公平感〟はないのか。

大嶋氏は「全くない。今はファッション感覚というのもあるし、僕らのころとは感覚、思いの変化もあるわけだから」ときっぱり。時代とともにタトゥーに対する認識が変化してきていることを強調した。

一部ではタトゥー部分をファンデーションではなくテーピングなどで隠すべきだったという意見も噴出している。それでも同氏は「僕は腕(の入れ墨)はレーザーで落としたが、まだ見えていた。それでも大丈夫とのことだったので、そのまま出してやっていた。だから今回の件は『なんで急にいまさらそんなことを言っているんだ』という思いが強いんですよ」と話し、この点にも強い違和感を感じているようだ。

JBCの規定自体にも「緩和はありなんじゃないかと思います。僕はやったほうなんで(タトゥーは)ダメだとは言えないですよ」と語る。一翔の処分内容は近く決定される見通しだが、しばらくは論争が続くことになりそうだ。

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