7本命中 今年は「豊作」 王嶋神社で百手講

古式にのっとった衣装で、10メートル先の的を目がけて矢を射る「百手講」の射手=松浦市、王嶋神社

 長崎県松浦市志佐町庄野免の王嶋神社で8日、的に当たった矢の数で今年の豊凶を占う新年の伝統行事「百手(ももて)講(こう)」があった。時折、雪もちらつく寒風の中、2人の射手が的を射抜くたびに見物客から歓声が上がった。
 年始に住民が狩りをし、その成果で農作物の出来を占ったのが始まりとされ、江戸時代から続く伝統行事。市の無形民俗文化財に指定されている。「百手」は、集落の家長50人で狩りをした際、手の数が100本になったことに由来しているという。
 今年の射手は同免の会社員、山口宏信さん(38)と農業、守山清和さん(39)。古式にのっとり、烏帽子(えぼし)に狩衣(かりぎぬ)姿の2人は約10メートル先の直径50センチの的を目がけ、イタビの木で作った弓で青竹の矢を計50本放った。
 命中は7本で、中川明宏宮司によれば、今年は「豊作」。山口さんは「緊張した。射るまでの形をつくるのが難しかった」、守山さんは「たくさん当てたいと思っていたが、寒くて矢を放つたびに手が痛かった」と話し、大任を果たしてホッとした表情だった。

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