アベノマスクも学術会議介入もGoToも擁護、もはや権力の「中の人」に…御用ジャーナリスト5位〜2位、そして大賞を発表

左・三浦氏インスタグラム/右・『バイキング』に出演する平井氏

リテラ毎年恒例の「御用ジャーナリスト大賞」。2020年は安倍政権が終わり菅政権が誕生したが、両政権がコロナ対応で大きく批判を浴びるなか必死に政権を擁護してきた御用ジャーナリスト・MC・コメンテーターを選出するこの企画。前編では10位から6位までを紹介したが、後編では5位から2位、そして大賞を発表しよう。
安倍政権の終焉とともに極右応援団の多くがトランプ応援団に転身するなか、華麗に菅応援団へと転身をはかった人たちが上位に名を連ねた。さて大賞は、会食三昧のあのジャーナリストか、悪評だらけのアベノマスクを擁護したあの学者か、2020年にワイドショー出演が激増したあの人か。大賞は誰の手に!

5位●橋下徹
裏で維新や菅首相とがっつり繋がりながらワイドショーでは是々非々のポーズ、世論を誘導する狡猾なやり口

正直、この人のことはずっと「政界の現役プレイヤー」だと思っていたので、「御用ジャーナリスト大賞」では取り上げたことがなかったのだが、2020年はワイドショーへの出演が激増し、複数の番組でレギュラーコメンテーターの座までゲット。「週刊女性」(2020年5月26日号/主婦と生活社)では「女性が選ぶ好きなコメンテーター」1位に選出されるまでになってしまった。ならば、「コメンテーター」として、きちんと批判しないわけにはいかないだろう。

大阪市長をやめたあとも毎年、安倍晋三首相、菅義偉官房長官と会食を続けてきた仲の橋下氏が「安倍・菅応援団」であることは言うまでもないが、この人が小狡いのは、その時々の空気を読んで「政権批判」とも受け取れるセリフを随所に散りばめつつ、肝心なところは結局、追及を封じ込めて、最終的に世論を擁護や応援に誘導していくことだ。

たとえば、「桜を見る会」問題でも、批判らしき言葉は口にする一方で「違法性はない」ことを強調。「官僚から注意がなかったのか」と官僚のせいにしたりして、安倍首相を守り続けた。河井克行・案里夫妻の公選法違反でも同様で、「国民としては1億5000万円と言う額に『ん?』と思い、引いてしまった」と苦言らしきことを言いながらも、「河井さんの問題」として、やはり「自民党に違法性・不正はない」と断言していた。

さらに、呆れたのは安倍政権のコロナ対応をめぐる姿勢だ。当初は非難殺到の世論に迎合して、特措法を改正しないことなどを批判していたが、7月、安倍首相を自身の冠番組『NewsBAR橋下』(AbemaTV)にゲストに迎える。すると、特措法改正をやらないまま国会を閉じたことにまともな批判もせず、「日本がここまで国際社会で存在感を発揮できたのは総理の前の政権ではなかった」「トランプ大統領やプーチン大統領や習近平国家主席が待機児童の問題なんか絶対やっていないと思うんですよ」などとどうでもいいヨイショや擁護を繰り広げたのだ。

こうしたやり口は、菅政権が誕生してからさらに露骨になった。日本学術会議任命拒否問題でも、「説明不足」などといちおう批判ポーズを取りながら、「説明不足」を追及するのではなく、「学術会議にも問題がある」などと話をすり替え、学術会議のほうを攻撃しまくった。

さらに、この学術会議問題では、デマまで拡散し、菅首相を擁護している。〈学者がよく口にするアメリカとイギリス。両国の学者団体には税金は投入されていないようだ。学問の自由や独立を叫ぶ前に、まずは金の面で自立しろ〉などとツイートしたのだが、実際は、米国科学アカデミーには約160億円以上、英・王立学会にも約65億円、政府から補助金が出ていた。

これだけでもひどいものだが、橋下氏はこのデマをめぐって、その本質が露わになるような対応をしている。東京新聞が10月15日に「「デマです」と橋下徹氏のツイートに批判 学術会議問題で誤情報が拡散」という記事で、橋下氏に問い合わせをしたのだが、橋下氏側の回答はなんと「現在は一私人としての立場なので、無償でのインタビューには応じていない」というものだったという。

デマ発言の説明を求められて「一私人」だから「無償でのインタビューに応じていない」って、いったいどういう倫理観をしているのか。ご都合主義としか言いようがないが、この「公」と「私」を都合よく使い分けるダブルスタンダードこそ、橋下氏の最大の問題と言っていい。

周知のように、橋下氏は大阪市長辞職後も、「大阪維新の会」の法律顧問を務め、その政策に大きな影響力を持ってきた。また、安倍政権時代から当時の安倍首相や菅官房長官とも太いパイプを持ち続けてきた。とくに、維新の政策に全面協力してきた菅首相との関係は非常に緊密だと言われている。

ところが、橋下氏はそうした政界への影響力を持ち続ける一方で、「市長を辞めたんだから私人」であると強調して、自分に対する批判を封殺。さらにここのところ報道番組やワイドショーに連日のように出演し始め、政治からは距離を置いたかのように振る舞いながら、維新擁護、さらには安倍・菅政権擁護を口にしてきた。

実際、橋下氏は、『グッとラック!』(TBS)で、9月の菅政権誕生時に、「橋下さんだけが知る“菅首相”ってどんな人?」と質問された際、「食事も一緒にさせてもらってますけど、その時の話の内容とかもしゃべっちゃうと、田崎史郎さんグループに入っちゃうじゃないですか。それは絶対に言えないので」などと答えていた。

裏で特定の政治勢力とつながりながら、表ではあたかも「是々非々」のポーズで世論を騙しながら誘導していく。「御用」というより、自分の政治的野心の実現が目的のにおいが消えないため、このランキングでは5位にとどめたが、その手口や世論への影響力という意味では大賞クラスの悪質さと言っていいだろう。

4位●『ひるおび!』
菅政権誕生で“菅応援団”番組がさらに露骨に! 田崎スシローいわく「菅首相の奥さんも見てる!」

4位の称号は、異例だが、『ひるおび!』(TBS)という番組そのものに捧げようと思う。御用ジャーナリストの代名詞・田崎史郎氏、ネトウヨ安倍応援団の八代英輝弁護士が出演している同番組だが、2020年はそういう個人のレベルではなく、番組じたいが菅首相の応援団と化していたからだ。

『ひるおび!』と菅首相の関係の近さはMCの恵俊彰が菅官房長官と会食したという噂も出回るなど、以前から有名で、2018年半ばからは、放送で露骨に菅ヨイショするシーンもしばしば見られるようになった。

元号発表で菅氏の注目度が高まると、「令和おじさん」「パンケーキおじさん」「次期首相」と大はしゃぎで持ち上げたのはもちろん、菅原一秀・前経産相、河井克行・元法相、和泉洋人首相補佐官など菅側近の不祥事が次々と明らかになり菅官房長官が追い込まれていた時期も、菅官房長官の誕生日を番組で祝うほど。

さらに「桜を見る会」問題の会見対応でボロボロになって多くのメディアが珍しく菅官房長官を批判していた際も、恵らは「安定のガースー」「安心感がある」などと無理やり擁護していた。

しかし、ターボ全開になったのはやはり2020年、安倍首相が辞任を表明したあと。とにかく菅首相を誕生させようと番組一丸となってプロモーションを展開したのだ。

象徴的なのは、柿崎明二・共同通信論説委員を頻繁に出演させ、ことあるごとに菅氏の出世譚や政治手腕などを熱く語らせたことだろう。

柿崎氏がその後、すぐに菅内閣の補佐官に就任したことが、何よりその露骨な偏向を証明したが、『ひるおび!』には何の反省もなし。逆に“『ひるおび!』ファミリーが首相補佐官に!”とお祝いムードで「もう出てもらえないかな」「ダメもとでオファーしてみよう」などと大はしゃぎする始末だった。

こんな調子だから、菅政権誕生後も、当然、菅応援団ぶりはより露骨になっていった。

コロナ感染が徐々に拡大しているなかでも、例の携帯値下げ問題を何度も特集し、菅首相の手柄だと賞賛。学術会議問題でも田崎氏や八代弁護士らが学術会議をすり替え攻撃、菅首相を正当化し続けた。そして12月、支持率が急落すると、“安倍政権では常に味方だったはずの読売・産経の論調が変化し、菅首相を批判”などというマニアックな特集までして、菅首相をかばってみせた。

最近は、さすがにコロナ対応の失態をめぐって厳しいツッコミもするようにはなったが、それでも「これ柿崎さんに言えばいいのかな」などと、自分たちが官邸に近いことを自慢している始末。そんな軽口を叩く前に、こんな酷い政権の誕生をアシストし、持ち上げてきた責任をとれ、という話だろう。

しかも、ありえないのは、安倍政権、菅政権と通じて、これだけ政権擁護に偏った放送を繰り返しておいて、長くコメンテーターを務めてきた作家の室井佑月を突如降板させたことだ。室井は2020年5月、前新潟県知事の米山隆一と結婚したが、その米山前知事が11月27日、次期衆院選で新潟5区に立候補することを正式に表明。そのため、選挙出馬予定者の配偶者は情報番組のコメンテーターとして公平でなくふさわしくない、という判断があったというのが表向きの説明だ。

しかし、配偶者とはいえあくまでそれぞれ独立した個人であり、選挙期間中の出演見合わせならともかく、選挙じたいいつ行われるかもわからないのに、降板させるというのは異例だ。実際、父親が田村憲久厚労相である田村真子アナウンサーや、夫が小泉進次郎環境相である滝川クリステルは、いまも変わらずTBSの情報番組に出演し続けている。もちろん、田村厚労相も小泉環境相も次期衆院選に必ず出馬するはずだが、なぜか降板になったのは室井だけなのだ。これ、ようするに、室井が政権批判を繰り返していたためではないか。

田崎氏のような御用ジャーナリストに官邸の言い分を垂れ流させ、直後に首相補佐官として官邸入りするような人間に総裁選を解説させて、なんの反省も検証もない。それでいて、政権批判者を追放していく。立川志らく司会の『グッとラック!』を終わらせるらしいTBS だが、次は『ひるおび!』を終了するべきだろう。

3位●田崎史郎
安倍政権から菅政権になっても、コロナでも、田崎スシローぶりは健在!会食を隠さない開き直りにあ然

いまや御用ジャーナリストの代名詞ともなった「田崎スシロー」こと田崎史郎氏。この御用ジャーナリスト大賞も上位常連だが、2020年もその御用ぶりはいささかも衰えることはなかった。

「桜を見る会」招待者名簿をめぐる違法管理問題では「民主党がー」、河井克行・案里夫妻の公選法違反問題では案里議員の出馬の背景に安倍首相の思惑を指摘されると「案里さん自身がー」、コロナの感染拡大が進む一方PCR検査不足を指摘されると「町医者がー」「厚労省の医系技官がー」と、あらゆる安倍政権の不祥事・失政を、デマまで交えながら責任転嫁しまくった。

4月に緊急事態宣言を出したにもかかわらず休業要請を2週間見送り、安倍政権が批判を浴びた際も、田崎氏は『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日、4月9日放送)で、西村康稔担当大臣に直接、電話をして確認をした話として、「(西村大臣は)専門家の意見として2週間やめたら効果が出る可能性がありますと伝えたということ」と代弁。しかも「西浦さんがおっしゃっていますよね」と、西浦博・北海道大学教授(当時、現・京都大学教授)の名前まで出した。

ところが、これはまったくのデマで、数時間後、当の西浦教授からツイッターで名指しで否定されてしまった。

すぐにバレるデマまで駆使して安倍政権を擁護するとは「御用ジャーナリスト」の面目躍如だが、2020年はその安倍首相が辞任。安倍擁護でメシを食ってきた田崎氏はいったいどうなるのかと気になっていたのだが、さすがスシロー。安倍首相が辞任するや否や、菅首相誕生に向けて、立ち回り始める。

当初は「菅さんは出ない」「出ると言ったら自分が止める」などと菅氏の総裁選出馬を潰されないようギリギリまで隠したあげく、菅氏が出馬を表明した途端、菅礼賛コメントを展開。返す刀で対立候補の石破茂氏や岸田文雄氏らを攻撃しまくった。

菅政権が誕生してからももちろん、スシロー氏の菅御用ぶりは全開だ。日本学術会議の任命拒否問題では、「会員を推薦する過程が不透明」「こんなことで萎縮するような学者はだめ」「なんで学術会議のメンバーにならないと言えないのか」などと言って学術会議を攻撃するなど、菅政権を擁護しまくった。

しかし、2020年を振り返り、あらためて指摘しておきたいのは、“田崎スシロー”というあだ名の由来ともなった、会食ぶりだろう。

田崎氏といえば、総裁選のときに石破茂氏に対して「飲み食いの数が少ない」と批判していたように、会食=取材、会食=政治と思っているフシがあるのだが、コロナ感染が拡大してもその姿勢は変わらなかった。東京で第2波の感染拡大していた7月中旬には、東京医師会の尾崎治夫会長が会食を控えるよう呼びかけていたのに、「6、7人で会食始めた」と平気で話していたし、菅内閣が誕生すると、さっそく、菅首相御用達の「ORIGAMI」で会食。

さらに極め付けは、12月16日夜に行われた会食だろう。感染拡大を受け会食自粛が呼びかけられるなか、菅首相が二階俊博・自民幹事長や王貞治氏、みのもんた氏ら大人数でステーキ会食をし大顰蹙を買ったのが14日夜のこと。批判を受け、16日夕方には「国民の誤解を招くという意味においては、真摯に反省している」などと釈明したのだが、なんとその日の夜にも2件会食、そのひとつが田崎氏らメディア関係者とのフランス料理会食だったのだ。平時であっても、ジャーナリストが為政者と会食するなどまともな民主主義国家ではあり得ないことだが、この状況下でもまだノコノコと出かけていくとは……。

さらに、あ然としたのは、店から出てきた際、取材陣に対してこんなコメントをしたことだ。

「話の内容は全部オフレコ。君らと同じだよ。取材した話、ベラベラしないでしょ」

「取材した話、ペラペラしないでしょ」って、田崎氏はジャーナリストとして、それこそ何の目的で菅首相と会食したのか。

いろんな意味で、田崎氏は「永田町の論理」を体現しているということらしい。

2位●平井文夫
“フジのスシロー”は本家よりアクロバティックな政権擁護で一時は重宝されるも、デマ連発でテレビから追放

安倍政権のコロナ対応に対して、坂上忍がMCを務める『バイキング』(フジテレビ)が厳しい政権批判を続けた結果、お目付役として投入された平井文夫・フジテレビ上席解説委員。その露骨な政権代弁ぶりから付いたあだ名が“フジのスシロー”。

だが、そのアクロバティック擁護ぶりは、本家・田崎スシローもびっくりのシロモノだった。たとえば、黒川弘務・元東京地検検事長の“賭け麻雀”問題について「点ピンはセーフ」と、過去の摘発事例を無視して無理やり黒川氏を擁護。世論調査で安倍内閣支持率が低下すると、「朝日や毎日は『これは下がるな』と思ったらやってくる」などと朝日や毎日が恣意的なタイミングで世論調査をおこなっているかのように攻撃した。

さらに、河井克行元法相が摘発されると、安倍首相への責任追及を退けるために「じつはですね、安倍さんって河井(克行)さんのことね、そんなに好きじゃない」と、言い放った。

なかでも、ひどかったのが安倍氏に代わって首相に就任したばかりの菅氏が引き起こした日本学術会議の任命拒否問題でのデマ発言だ。10月5日放送の『バイキングMORE』で、こう学術会議を攻撃したのだ。

「だってこの人たち6年ここで働いたら、そのあと学士院というところに行って、年間250万円年金がもらえるんですよ。死ぬまで。みなさんの税金から。大体。そういうルールになっている」

しかし、これは紛れもないデマ、フェイクニュースだった。日本学術会議と学士院は管轄も違えば役割も異なる組織だが、そもそも日本学術会議の会員数は210人(任期6年)なのに対し、学士院の定員は150人のうえ終身会員。平井氏は日本学術会議の会員は任期が終われば自動的に学士院に行けるかのように語ったが、定員150人の組織に入ることなど不可能だ。

この平井氏のデマには間違いを指摘する声が相次ぎ、平井氏は翌6日放送の『とくダネ!』(フジテレビ)に出演すると、「学術会議の会員全員が学士院会員になれるとの誤解を一部に与えてしまった」などと釈明。同日の『バイキング』でも、伊藤利尋アナウンサーが「昨日の放送について補足と訂正があります」と言い、平井氏の発言を訂正する結果に。

ところが平井氏は、上席解説委員でありながら人に謝らせたうえ、釈明をおこなった『とくダネ!』でも「学術会議の会員は学士院の会員に推薦されますが、ならない人もいますし、学術会議以外の人も学士院会員になる道はあります」などと発言。そんな決まりはどこにもないのに日本学術会議の会員が全員学士院の会員に推薦されるかのように語り、性懲りもなく“年金デマ”を助長するかのような発言をおこなった。

さらに日本学術会議に約10億円の予算が国から出ていることに対し、「やっぱり口出してほしくないなら自分でやればいいじゃないですか。なんで『口は出すな、税金はくれ』って言うの」などと主張。デマを流した反省もなく、学問の自由を無視した暴論まで展開したのだ。

このデマ発言以降、『バイキング』などから平井氏の姿が消えたのは不幸中の幸いだが、平井氏はその後アメリカ大統領選をめぐってもフジテレビが運営する「FNNプライムオンライン」上のコラムでデマを飛ばし、やはり訂正・削除するという騒動を起こしている。

しかし、これでもまだ平井氏を上席解説委員に据え続けているフジテレビ。さすがフェイクメディアのフジサンケイグループというしかない。

1位●三浦瑠麗
アベノマスクまで「うちはありがたい」、菅政権の「成長戦略会議」メンバーとしてGoToを後押し

角度のついた政権擁護で毎年、御用ジャーナリスト大賞常連の三浦瑠麗センセイだが、2020年は栄えある大賞に選出された。

決定的だったのはやはり、あの「アベノマスク」まで擁護したことだろう。安倍首相がろくなコロナ対策も打たなかった一方で、4月1日に布マスクの配布を発表したときは、日本国民の怒りが沸騰。政権への非難が集中した。

ところが、三浦氏はこんなツイートをしたのだ。

〈布マスクうちはありがたいですよ。自分でマスクを縫う暇はないし、子供にさせたくても市中にはないもんね。洗って使える布のものはもっと高性能なマスクが必要な人の分を妨げないし。郵便を利用してプッシュ型支援をやったのは画期的だから、引き続き他の経済対策も頑張って下さいでいいんじゃないの。〉
〈中高年男性中心の政権が、がんばって各家庭に対する想像力や蟻の視点を持とうとしているのだから、叩くんじゃなくて、こんなことがしてほしい、あんなことがしてほしいっていうチャンスだと思うな。(以下略)〉

普段は「国際政治学者」を名乗りながら、いきなり「うちはありがたい」などと自分の生活事情に矮小化。問題は三浦氏個人にとって布製マスクが有用かどうかじゃない。本当に政治学者なら、効果の低い布マスク配布を最優先で打ち出し巨額予算を注ぎ込むことの政策的妥当性をきちんと検証すべきところを、いきなり庶民ぶって「うちはありがたい」。あげくは「中高年男性中心の政権が、がんばってるんだから叩くな」って。

とにかく無理やりでも安倍政権を擁護しようと、もはや学者としての良識を投げ捨てているとしか思えない言説を連発したのだ。

多くの人が抗議の声をあげたあの検察庁法改正問題における発言もひどかった。検察庁法改正案を擁護・正当化するツイートを20ツイート以上連投したのだが、約3000文字に及ぶその内容は、ネトウヨのフェイクと大差ない間違いだらけのシロモノだった(詳細は過去記事参照→https://lite-ra.com/2020/05/post-5422.html)。

しかし、三浦氏の罪が大きいのはやはり、コロナ問題をめぐる発言だろう。菅政権誕生以降も、とにかく「コロナなんてたいしたことない、経済を回せ」と連呼し、菅内閣のコロナ軽視を正当化してきた。この年末年始も「緊急事態宣言は竹槍精神」「コロナよりがんのほうが致死率高い」などと雑でめちゃくちゃな論理を振り回して、コロナ軽視の菅政治をアシストし続けている。

しかも、問題なのは、その言説がどんどん雑に劣化してゆく一方で、現実政治における三浦氏の影響力はどんどん増していることだ。

三浦氏といえば、2018年には安倍政権の有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」の有識者メンバーとなっているが、2020年はさらに安倍政権の「未来投資会議」のメンバーにも加わり、その後継組織である菅政権の「成長戦略会議」にもそのまま名を連ねている。「未来投資会議」といえば、あの悪名高い「GoTo」キャンペーンの言い出しっぺでもある。

ようするに、三浦センセイはいまや、外から政権を擁護するだけでなく、いまの菅政権のひどいコロナ対応を内部で後押ししているというわけだ。もはや「御用」を超えて「戦犯」と言っていいかもしれない。

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いかがだったろうか。安倍政権から菅政権に変わっても、酷すぎるコロナ対策で国民の命が危機に晒されようとも、御用ジャーナリストやコメンテーターたちが政権擁護や批判封じに勤しんできたということがわかってもらえただろう。

実はリテラは1年前のこの企画で〈年内に安倍政権の終焉という可能性もゼロではない〉と予測し、安倍応援団や御用ジャーナリストたちが雲散霧消していてほしいと期待していたのだが、この予測と期待は半分当たって半分外れた。安倍政権は終焉したが、ご覧のとおり、政権応援団や御用ジャーナリストたちの存在は相変わらずだったのだ。安倍政権・菅政権を通じて10年近くものあいだ、圧力と忖度に慣らされてきたメディアの構造や体質が改善されるのは簡単なことではない。今後も、御用ジャーナリストやメディアの御用報道を注視し続けなければならない。
(編集部)

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