台湾で恐怖の発がん性物質含有マスク流通か

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】年明け早々の首都圏緊急事態宣言に揺れる日本を尻目に、お隣の台湾は新型コロナウイルスの抑え込みに一定の成功を見せている。

英国を中心に急増している変異型ウイルスを水際で阻止するため、台湾在住以外の全外国人を元日から入国禁止に。先月からは公共交通機関やデパートなどでのマスク着用を義務化し、違反者には最高1万5000台湾元(約5万5000円)の罰金が科される。

そんな中、マスクをファッションアイテムの一つとしてとらえたカラーマスク(彩色口罩)が市民の間で大流行。ピンクやオレンジ、紫など日本ではあまり見かけないカラフルなマスクが街角や駅の自販機でも買える。柄も豊富で、ギャラリー風の専門店まで出現するほどの人気だ。

ただ、そんなカラーマスクの中に発がん性のあるものが含まれているのではないかと4日、大衆紙「蘋果日報」など地元メディアが衝撃報道した。問題視されているのは、一部のカラーマスクを着色する際に使われる「アゾ染料」という有機化合物。安価なため、ゴムやプラスチック、合成繊維などの着色に広く用いられる染料だ。

アゾ染料にはさまざまな種類があり、中には皮膚の表面などで分解され、発がん性物質の芳香族アミンを生成するものが含まれているという。膀胱がんを引き起こす可能性があるとされ、日本では2016年4月からアゾ染料を使った繊維や革製品などが規制対象になった。台湾でも規制されているが、カラーマスク需要が増えたドサクサで、悪質な商品が紛れ込んでいるというのだ。

ニュースチャンネル「TVBS」は中国やベトナム製の粗悪品が多いと報じている。“発がん性マスク”を長時間着けた場合、汗や高温、雨などにより芳香族アミンが生成され、人体に害を及ぼす可能性があるという。

台湾の食品医薬品局と経済省は取り締まりを強化。市場に出回っているカラーマスクの一斉検査を開始した。発がん性があると考えられている22種類のアゾ染料を含むマスクだった場合、メーカー側には最高200万元(約730万円)の罰金が科される。

地元毒物学者・招名威氏は「過度に恐れる必要はないが、一部のカラーマスクにはアゾ染料だけでなく、微量の重金属が含まれている。鼻や口など粘膜に長時間接触させることで、健康に悪影響を及ぼす可能性もある。特に子供の場合は心配」とフェイスブックで警告。「私はカラーリングされていない普通のマスクを使っている。そもそもマスクは消耗品だから、健康のためには日々の交換を忘れずに」と訴えている。

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。

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