「感染症予報サービス」を構築、普及へ/日本ヘルスケア協会

ヘルスケア産業の各団体や企業が参画する日本ヘルスケア協会(JAHI)は1月12日に定例記者会見を開き、感染症の流行を予測する「感染症予報サービス」を今後、普及していきたい考えを示した。同サービスは日立社会情報サービスが構築を進めているもので、JAHIの感染予防技術普及推進部会がサービスのブラッシュアップなどに協力しているもの。ヘルスケアに関わるメーカー・卸・小売りのサプライチェーン全体で、生産計画や販売促進への活用のほか、地域の感染拡大防止に貢献することを目指している。

さいたま市で実証実験、JAHIが“ひとことアドバイス”

「感染症予報サービス」は日立社会情報サービスが構築を進めているサービスで、4週間先までの感染症の流行を予測するもの。

ベースには、医療機関からの感染症報告を収集する日本医師会ORCA管理機構が運営する「ORCAサーベイランス」を取り込み、その他、各種の感染症関連情報を基に、AIで学習させ、予報を割り出している。

手始めにインフルエンザを対象に2019年度には埼玉県さいたま市で実証実験が行われた。LINEで感染症予報情報を提供するとともに、JAHIから予防に関する“ひとことアドバイス”を提供したもの。その結果、同サービスを利用した市民においては、八割が感染予防対策の行動を取ったことが分かっており、同サービスが予防対策の向上に役立つ可能性が示された。

また、利用者からは、さいたま市などの大きなエリアではなく、市内の地域をさらに絞り込んだ予報を求める声もあったという。

こうした実証実験やJAHI部会での議論を通して、2020年10月から実際のサービス提供に至ったとしている。

同日に講演した日立社会情報サービス社会ソリューション部第3グループの丹藤 匠氏は、「今後、ニーズがあることが分かっているノロウイルスや手足口病などにも対象を広げ、サービスの向上を図っていきたい」とするとともに、産業においては「ECや小売り店頭で感染症予報を発信することにより感染関連品の販売促進につなげたり、店頭の在庫管理・適正化への活用が考えられる」とした。

一方、課題としては、感染症発生のデータ自体がなければ予報ができない点を挙げ、実際にインフルエンザなどでも発症情報が入手しづらい地域もあるとした。データを増やしていくことも課題とした。

具体的なドラッグストアや薬局でのサービス実装については、「地域で提供する際には複数の企業と提携することが多い」と話した。

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