【初場所】〝V絶好機〟を逃した貴景勝の致命的欠陥

北勝富士に敗れ3連敗。貴景勝の優勝は絶望的になった

早くも風前のともしびだ。大相撲初場所3日目(12日、東京・両国国技館)で自身初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が、幕内北勝富士(28=八角)の突き落としに屈して3連敗。横綱昇進の条件となる優勝が絶望的となった。

血まみれになった相手の猛攻にヒザをついた大関は取組後「もう一回見直してみないと分からないけど、崩れてしまったので修正してやっていきたい」と自己分析。土俵下の高田川審判長(53=元関脇安芸乃島)は「(貴景勝は)どこでいなそうかと考えていたところなんじゃないか。何も考えずに前に出て行けばいいけど、考えていることがあるのかな」と指摘した。

本来、貴景勝のスタイルである押し相撲は前に出て突き押すのが最大の持ち味。しかし、まわしを取られて四つ相撲に持ち込まれると一気に分が悪くなるため、パワー不足は〝致命的な欠陥〟になってしまう。押し相撲だけで横綱として大成した力士はいないと言われるが、他の選択肢がないために〝負の連鎖〟から抜け出せなくなっているのかもしれない。

今場所は横綱昇進に向けたまたとないチャンスだった。白鵬(35=宮城野)と鶴竜(35=陸奥)の両横綱が不在。カド番の朝乃山(26=高砂)と正代(29=時津風)の2大関は負傷明けで本調子には至っておらず、結果を残せる〝お膳立て〟はできていた。だが、まさかの展開に芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)も「押し相撲だから波があるんだけど、大関で横綱を目指すなら波に乗る、乗らないじゃないから」と厳しい言葉を並べた。

試行錯誤を続ける大関は「考えてやって、勝たないと意味がないんで」と前を向くが…。ここから立て直すことはできるのか。

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