<大ヒット盤>浜田省吾『In The Fairlife』出色は輪廻がテーマのラスト曲

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 浜田省吾が、音楽制作ユニットFairlifeにて2004年から2010年にかけて発表した作品の中から、自身の歌唱にてあらためて録音、またはリミックスした作品集。作詞は『砂の祈り』のみ浜田との共作で残りはすべて女性作家の春嵐が担当し、浜田は作曲と歌唱に集中したことで、いつもとは異なる味わいがある。

 具体的に示すと、ミディアム調のポップス『みちくさ』では、“人生は悪くない、きっと大丈夫”と楽観視し、よりアップテンポな『アイラブピース』では、プロポーズ前後の若いカップルを歌うなど、その真っ直ぐな感じが新鮮で、さながら70年代の青春歌謡だ。

 また、ピアノやストリングスが美しいバラードの『てがみ』では、自分がどうであれ相手の幸せを祈り、ムーディーな『左手で書いたラブレター』では、許されぬ恋心ゆえあえて素直な気持ちを伝えずにいるなど、内気な人の思いやりがにじんだ歌詞と彼の温かな声色とよく合っている。

 出色はラストに収録され輪廻をテーマとした『ソウルメイト』だろうか。浜省の大陸的なメロディーや実直な歌声、そして中嶋ユキノの寄り添うようなコーラスも相まって、出逢いや別れに一喜一憂せず、より長い目で見よと優しく諭されているようだ。その意味で、このコロナ禍に発表された意義は大きい。

 冬景色をモチーフとしたブックレット内の写真もいつもながら美しい。本作を聴けば、周囲の温かい話し声や歌声が、意外と自分を励ましてくれていることに気づくはず。

(ソニー・2200円+税)=臼井孝